第五章 霊媒師こぼれ話_大倉弥生28才の飲んだくれライフ

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…… ………… 『弥生ちゃん、ヤヨちゃん。またね、またいつか……ずーーーーっと未来に会いましょう』 『本当は……弥生ちゃんが淋しそうに視えたから着いて来ちゃったけど、ヤヨちゃんがいるなら淋しくないよね。安心して逝けるよ』 『”前島リフォーム” にある祠には近いうち新人の神が来る予定だから、弥生ちゃん、もしも会ったら ”頑張って!” と伝えといて』 3神達は両手をブンブン振りながら、空から降りる光り輝く道に向かって歩いてく。 アタシとヤヨちゃん、開けた窓からそれを視送り大きく両手を振り返した。 「オッサン達! 気をつけて逝けよ! うるさかったけどアタシもヤヨちゃんも楽しかったよ! ありがとな、またな!」 【じぃじ ジィジ アリガト またね またね】 3神が道に乗ると、道も神も煌々と光り輝き、目を細めてそれを視た。 あまりに眩しく光が溶けて、粉雪みたいにキラキラしてる……ああ、キレイだ。 最後は、 空から声が降ってきて…… ____弥生ちゃん……良く聞いて、 ____近い将来、弥生ちゃんの人生が変わる出会いがあるよ…… ____我々みたいなオジサンで……とっても優しい人、 ____その人の誘いは断らないで、 ____その人を信じて、 ____そうすれば……苦労はあるけど幸せになれるから、 ____必ず幸せになれるから、 ____あとね、我々から弥生ちゃんにもプレゼントがあるんだ、 ____残り僅かな神のチカラ…… ____それぜんぶ弥生ちゃんにあげる、 ____必ず役に立つから、 ____必ず守ってあげるから、 ____我々の最後の仕事、 ____神の加護を弥生ちゃんに……! 加護? なんの話? と、思った瞬間。 空一面、強い光に覆われた。 アタシは思わず目を閉じてヤヨちゃんを抱きしめる。 なんだコレ……眩し……でも……あったかいなぁ…… 瞼に透ける明るい光を感じながら、アタシはいつしか意識を失った。 次に目が覚めのは夕方で、隣ではヤヨちゃんが気持ちよさそうに眠っていた。 2人きりの部屋の中。 テーブルに目をやれば、酒のグラスがそのままになっている。 半分減ったアタシのグラスと、それから……淵まで並々たっぷり入った、神々達の3つのグラス。 アタシはそれを水替わりにさ、順に一気に飲み干してオッサン達のこれからに思いを馳せたんだ。 ★次の更新はおまけ的なエピソードになります。 明日と明後日、あと2回お付き合いくださいませ。
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