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新宿から中野まで、快速電車はたったの5分で移動は完了。
電車を降りて階段も降り、改札を出たところに…………いた、千夏だ。
スレンダーなスタイルに、白いシャツとタイトなデニム。
歩く事を想定したのか足元はスニーカーだ。
ホワイトベージュの淡い髪色、抜けるような白い肌、目鼻立ちは整って美人顔だが幼さも混在している。
一応眼鏡はしてるけど……目立つな、大丈夫だろうか。
千夏の知名度はまだそれほど高くはない、だが、まったくの素人ではないんだ。
まわりに見つかり騒がれてしまったら……事務所に叱られるのは千夏だ。
ここはひとつ気をつけて、人の目を潜るような行動を……と思っていたのに。
ふと、千夏が自分に気が付いた、途端。
「ジャッキー!」
一言名前を叫んだ後に、子犬のように駆け出すとそのまま胸に飛び込んできた。
必死になって抱き着く千夏、通行人がニヤニヤしながらこちらを見ている。
焦っていると腕の中から声がした。
鼻をグズグズすすりながら、うわ言みたいに繰り返し……こう言っていたんだ。
「ジャッキー、ジャッキー……会いたかった、淋しかった、やっと会えた」
その声を聞いた時。
胸の奥がチクリと痛んで、とてもじゃないけど泣いてる千夏を剥がせなかった。
こんなになるまで淋しい思いをさせていたんだ、……罪悪感と愛しさが入り混じる。
だがしかし、このままではマズイ……千夏が千夏である事を隠さなくてはいけない、……ならばこうだ。
剥がす代わり。
華奢な背中に両手を回し、強く強く抱きしめた。
保護するように、慈しむように、誰にも千夏を見せないように、腕の中に包み込んだんだ。
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