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失礼にならないように、こっそり小さく笑っていると。
「ご注文は?」
いつの間にやって来たのか、占い師がお冷を持って立っていた。
千夏はメニューを見る事もなく(と言うか捲れないが)、
「コーヒー2つ! それと、占ってほしいです!」
と即答したんだ。
占い師は ”ふん、” と鼻を鳴らしただけで、なにも答えず千夏の顔をジッと見る………………そこから数分経過して……占い師は立っているのがダルイのか、乱暴に椅子を引くと千夏の隣にドカッと座った。
そして……不愛想極まりない顔で、こう言ったんだ。
「白髪の姉ちゃん。アンタ近いうちに試験を受けるようだねぇ。止めときな、確実に落ちるから」
「…………!? そう……なんですか……? でも私……」
「”でも” なんだい。占ってくれって言ったのはアンタだろ。私は視えたコトを言ったまで。出た結果が気に入らないから文句を垂れるのかい? だったら最初から聞くんじゃないよ」
「あ……ごめんなさい。そういうつもりじゃなかったの。だた、……頑張ろうと思っていたから少しショックを受けちゃって……」
「はぁん? そんなコトでショックを受けたのか! かーーーーーっ! 小娘は弱いねぇ! その程度なら ”かすり傷” 、大したコトないわっ! なに、安心しな。次の試験は落ちるけど………………今からキッカリ3か月後、別の試験がアンタを待ってる。それには這ってでも行きな。熱が出ようが血尿出ようが絶対だ。アンタはその試験に確実に受かる。それを機に人生が引っくり返るから楽しみにしてな」
………………開いた口が塞がらなかった。
千夏はまだ、なにも話してないんだよ。
悩みはおろか誕生日すら伝えてないのに、ツラツラと千夏の未来を語ってるんだ。
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