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なんだか様子がヘンだなって思ったけど、ピコーンと閃いた。
コレ、アレだ。
伊藤さん、オカルト話を自分で振って、自分で怖くなったんだ。
だから急に話題を変えたのだろう。
それと……
____なんだってこんな夜中に瀧澤建設の事務所にいるんだい?
この質問はもっともだ。
全然別の会社の人間が、ましてや僕は今、営業担当ではないのだ。
なのにこんな真夜中に部外者1人で事務所にいるって……おかしいよねぇ。
そこで僕は、これまでのいきさつを簡単に説明したのだが、聞き終えた伊藤さんは、なぜか恐縮してしまった。
え、なんで?
「いや、だってさぁ……ウチの社長も無茶言うなぁと思って。そりゃあね、岡村君に任せた方が安心だよ。でもさ、今は営業さんじゃないんでしょう? なのにさ、会社まで来てもらって電話帳の登録をさせちゃうなんてさぁ、しかもこんな真夜中まで! ……はぁ……まったく、社長は強引なんだよなぁ。でも嫌わないでやってね。あの人、根は良い人だからさぁ」
あ、そういうコトね。
いやぜんぜん、嫌いになんかなりませんよ。
だってそもそもの原因はウチの会社の営業だもん。
データ飛ばしてそのまま帰るとか、……マジあり得ないっすわ。
「いや、悪いのは100%ウチの方ですもん。これくらいなんともないし、むしろコレで許してくれるって寛大ですよ。てか伊藤さんこそ、こんな時間にどうしたんですか?」
あまりにナチュラルに登場したけど、今深夜よ?
出勤にしては早すぎない?
「あ……うん、その……そう、そう! 眠れないから散歩をしてたの。たまたま会社の前通ったら明かりが見えてねぇ。誰かいるのかな、それとも電気の消し忘れかなと思って、それで寄ってみたの」
「なるほど、そういうコトでしたか。わーもー、驚かせちゃってすみません!」
「いやいや、来て良かったよ。まさか岡村君に会えるとはねぇ。嬉しいなぁ。よし! せっかくココで会えたんだ。私も手伝うよ。あとは登録ミスがないか確認するだけなんだろう? リストを並べてくれたら端から順に読み上げてあげる。その方が効率いいでしょ」
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