第六章 霊媒師こぼれ話_ジャッキーと占い師

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「……そんなの知ってる、でもコッチの手も繋ぐの。あのね、さっきの占いはぜんぶウソだよ。月に1回、エキストラの仕事があるかどうかの私がさ、大女優になんかなれる訳がないもん。笑っちゃうよね。ウソつくんなら、もう少しマシなウソをつけばいいのに。…………だからね、ジャッキーのコトもウソだよ。……事故に遭うなんて、……その……足を怪我するなんて……そんなの全部嘘、…………ジャッキー、ごめんね……あんな事言われて嫌だったでしょう? 怖かったでしょう? 私、なにやってんだろ……せっかく会えたのに、今日は1日楽しく過ごしたいと思っていたのに…………」 ああ……そういう事か。 それで様子が変だったんだ、それで泣いてしまったんだ。 「千夏(ちな)、……泣かないで、コッチ向いて。大丈夫だよ、自分はぜんぜん気にしてないから。さっき言っただろう? 占いは ”当たるも八卦当たらぬも八卦” だって。職業柄ね、事故は付き物なんだ。だから毎日訓練してる。事故らないように、事故っても正しい対処が出来るように。心配しないで、今までだって無事故でいたんだ。これからだって油断しないで頑張るよ。……ん、千夏(ちな)はなんにも悪くない。それにね、自分も今日は楽しいんだ。千夏(ちな)に会えて、手を繋いでデートして、……ね、ほら、時間はまだ早い、楽しい時間は終わってないよ」 泣きじゃくる愛しい人の肩を抱き、帽子の頭にキスをした。 それを何度も繰り返し、やっと千夏は笑ってくれた。 その日2人は朝が来るまで一緒に過ごし、笑い合って眠りについた。 幸せで楽しくて、だけどまた会えない日々が続いたけども、今度はちゃんと電話して淋しさをため込まないようしてたんだ。 …… ………… ……………… そうこうしてるうち。 あっと言う間に季節が変わり、あの占いの日から2か月半が経過した。
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