第六章 霊媒師こぼれ話_ジャッキーと占い師

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千夏と話をしなくては。 今夜の電話でその事を、…………いや、電話じゃ駄目だ。 内容が内容だ、顔を見てきちんと話をするべきだ。 場所はどこが良いだろう? どこか個室の店を予約して……だがこんな時間じゃ難しそうだ。 だとすると、自分が千夏の部屋に行くのが1番良いかもしれないな。 今日の仕事はエキストラだけ、夜には家にいるはずだ。 そうと決まれば用意をしよう。 シャワーを浴びて着替えをしたら出発するんだ。 …………と、ベッドから立ち上がった時だった。 ドンドンドン! 部屋のドアが乱暴にノックされ、 ガチャッ! 自分が返事をするより前に開けられたんだ。 そして、 「あっ! やっぱりお兄ちゃん帰ってた! 珍しー、こんな時間にいるなんて!」   開口一発大きな声、遠慮もなしに部屋の中に入ってきたのは妹の(ゆい)だった。 「はぁぁぁぁ……なんでおまえは毎回毎回、ノックをする時は普通に叩け。そのうちドアが壊れるぞ」 このセリフ、今まで何回言っただろう。 言って聞いた試しはないが。 「大袈裟、それくらいじゃあ壊れないわよ。それよりママが夕ご飯食べるのかって。食べるならお兄ちゃんのも作るって言ってるよ?」 夕飯か、久しぶりに家族みんなで食べたいのだが、今夜は都合が悪いんだ。 「ああ……っと、すまない。自分はこれから出かけてくるから、夕飯は外で食べてくる」 そう答えると、唯はクルッと後ろを向いて、開けっ放しのドアの向こうに大声を張り上げた。 「マーマー! お兄ちゃんご飯いらないってー! 彼女とデートするみたーい!」 「ばっ! そんなコト一言も言ってないだろ!」 「え? チガウの?」 「いや……チガクはないけど……」 「じゃあ合ってるじゃん」 「……まぁ、そうかもしれない」 唯は半目のニヤニヤ顔で、腕を組んで勝ち誇る。 妹は兄をやり込めるのが趣味なのだ。 ああ……昔は可愛いかったのに。 どこに行くにも ”兄ちゃん兄ちゃん”、そう言って後ろをついて来てたのに、この変わりようはなんなんだ。 まぁ、それでも唯が可愛い事には変わりはないが。
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