第六章 霊媒師こぼれ話_ジャッキーと占い師

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「いや、良いんだ。今のは自分が悪かった。ごめんね」 「…………なんでジャッキーがあやまるの? ジャッキーはなにも悪くないよ。私がぐだぐだゴネてるだけ、……ああもう、こんな私ヤダな…………」 千夏は独り言ちた後、両手で涙をゴシゴシ拭いて、その手で頬をペチペチ叩き、 「……ごめん、ちょっと顔洗ってくるね」 そう言って洗面所に消えた。 …… ………… 「はぁ……、」 ため息が出た。 どうするのが千夏にとって最善なのだろう。 一緒に住むのは嫌ではない……が、そこじゃないんだ。 疲れたと千夏が言うなら休ませてやりたい、そう思いかけた。 あんな千夏を初めて見たし、なんといっても愛しい女だ。 だが、さっきの反応が引っかかる。 ”占い” と言っただけで大きな声をあげるなど、千夏らしくないんだよ。 「……はぁ、」 二度目のため息。 千夏は中々戻って来なく、テレビでもつけようかと膝立ちをした。 その時、千夏のバッグが視界の端に見えたんだ。 エキストラはメイクも髪も自分でするから荷物が多い。 大きなバッグはクタッと床に置かれてて、ファスナーが開いているから中身がほとんど丸見えだ。 見えたのは、化粧道具が入っているのかポーチがいくつか、あとはブラシと手鏡と、その隙間に紛れるように挟まってるのは……なんだ?  自分はそれがなんだか気になって、バッグに引き寄せられていた。 千夏はまだ戻ってこない……こんなとこを見られたら、おかしな誤解をされてしまう。 そう思うのに抗えなかった。 どうしても見なくちゃいけない、そう思えて仕方がない。 自分はバッグの横に座って手を伸ばす、挟まってるのは……本、……だろうか? 洗面所に目をやれば、ドアは開かず閉まったまま。 心の中で千夏にあやまり、思い切って本を掴んで引き出した。 手に取って中を見る…………と、そこにすべての答えがあったんだ。
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