第六章 霊媒師こぼれ話_ジャッキーと占い師

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その、……遠い過去の、最後に会ったあの日の晩。 自分はあなたに酷い事を言ったよね。 そして、あなたを傷つけ泣かせてしまった。 本当にすまないと思ってる……が、どうしても夢を追ってほしかったんだ。 だから必死に嘘をついた。 あなたの事が嫌いだと、あなたの他にも女がいると、あなたに用はないのだと、そう言ったんだ。 怒ったあなたは自分の頬を打ったから、上手くいったとそのまま部屋を出ようとしたのに、弱い自分は最後の最後で、気づけばあなたを抱きしめていた。 あなたはあの時、 ____なんで……? と聞いた。 自分はそれにこたえる事が出来なくて、そのまま部屋を後にしたんだ。 それから数カ月後。 あなたがオーデションに勝ち抜いた事を知り、心の底からホッとした。 受けてくれた、受かってくれた、あとは未来に進むだけだと、まるで自分の事のように嬉しかったのを覚えてる。 さらにそれから数年後には、占いの予言の通りに自分は足を失った。 やっぱり別れて良かったよ。 あなたは優しい人だから、あのままいたら仕事もなにも放り出してしまうだろうから。 今日ここで、……思いがけずに千夏に会えて、驚いたけど嬉しかった。 あなたはみんなに愛されている。 みんながあなたの演技を待ってる。 そんなあなたを密かに誇りに思ってる。 …… ………… ……………… 「……でね、僕が1番好きなドラマはミステリーの犯人役で、その時の白川さんは、…………あーーーっ! ヤバイ! 時間! もう1時になっちゃうぅ!」 突如、エイミーさんが大声を上げた。 時間がどうのと騒いでいるが……ワオ、本当だ、今12時58分じゃない。 でもまぁ、大丈夫でしょう。 ウチの会社はアバウトだから、5分や10分、休憩時間が長くなっても怒られないよと思っていたのに。 根が真面目なエイミーさんは、慌てに慌ててこう言ったんだ。 「急いで出ないと! お金払ってダッシュで帰れば5分くらいの遅刻ですむかも! ジャッキーさん、行こう!」 ……と、その時だった。 エイミーさんの大きな声に反応したのか、それとも ”ジャッキー” という名前の方に反応したのか、隣のテラスで優雅に座る千夏がこちらに向いたんだ。 「ちょ、ジャッキーさんなにノンビリしてるのよ、行くy……って、え……? ウソ! 白川さんがコッチ見てる! うわ……やっぱしめちゃ綺麗……とりあえず拝んどこ……(合掌)」 手を合わせるエイミーさん、……自分は横に立ったまま、なにも言えずに動く事さえ出来ずにいた。
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