第七章 霊媒師こぼれ話_レッツハッピーバスタイム

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ソファの上では猫と熊が引っくり返って爆睡中。 それを横目に男3人、トランプしながらおしゃべりに花が咲く。 「きょ、今日は早く終わって良かったよね」←牛柄パジャマの(らん)さん 「イェッス! おかげでハピハピパーリーナイトだ!」←紫甚平のキーマンさん 「みどりさんも今夜からよく眠れるだろうねぇ」←ベンガルパジャマの僕 ド深夜のパジャマパーティー。 ゆえにみんな小さな声でのおしゃべりだけど、それでも十分盛り上がる。 トランプは白と黒の千鳥格子のシックな柄で、キーマンさんはこれを見た時一目惚れで即買いをしたという。 ちなみに今は神経衰弱をしてるんだけど…… 「あ! ま、また当たっちゃった~! な、なんかボクばっかりカードが集まっちゃってゴメンネ」 並んだカードを捲るたび、(らん)さんは同じ数字を引き当てるんだ。 「(らん)さんスゴイなぁ。やっぱり若いから記憶力が良いんだろうか。30過ぎると3歩ですぐに忘れちゃうからなぁ」 悲しいコトにこれがけっこうガチなのよ。 なにかをしようと立ち上がり、途中でお姫をナデナデすると、その ”なにか” をすっかり忘れて思い出せない。 考え込んでも全然ダメで、結局手ぶらで戻るんだ。 なんて思っていると、 「オゥイエッ! チェリーボーイ! ベリベリベリベリアンダスタン! ミートゥッ!」 キーマンさんが激しく同意をしてくれた(ナカーマ!)。 「そういえば、キーマンさんちは社長も来た事があるんだよね。前にそんなようなコト言ってた」 カードを捲るもカップルならずで裏返し、ふと、社長のコトを思い出して聞いてみた。 すると、 「ああ、ボスもしょっちゅうココに来る。ジ アザーデイ(この前)もドミニクとスリーメンズでナーブ ウィークネス(神経衰弱)をプレイした。あの日はボスがウィナー(勝者)だったんだが……」 キーマンさんこう言いながら、途中で眉をハの字にさせた。 その後を引き継いだのは(らん)さんで、やはり眉をハの字にしながらこう言った。 「しゃ、社長はね、勝負に負けたくないからって、ははは、コ、コッソリ霊視をしてたんだ」 「ナヌッ!? それってズルじゃん! 社長めぇ……大人げないというか、なんというか……」 「ホ、ホントだよね。しかも、やり方がうまくないから、ぜ、ぜんぶのカードを当てちゃって、すぐにみんなにバレちゃったの」 ちょ、マジか。 まったく、あの人はなにをやってんだか。 いい年して子供すぎだわ。
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