第七章 霊媒師こぼれ話_レッツハッピーバスタイム

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ポフンッ! と僕に抱き着くルミちゃんは『嬉しい! 嬉しい!』と大はしゃぎだ。 それはそうだろう。 なんてったってこの10年、チビクマの本体は林の中に置き去りで、雨風埃にまみれてた。 モコモコボディは所々に穴が開き、ボタンのおめめは取れかけていた。 全体的にペシャンコで、くたびれ感がハンパないのだ。 これってさ、普通の人なら修復作業を諦めちゃうレベルだよ。 でもね、今日の昼間にキーマンさんは言ったんだ。 ____泥だらけでずいぶんとワイルドだが ____最高のプリティベアーに戻してやる!  ____Don't worry(心配するな)、 ____この程度のリペアー(修復)なんてイージービクトリー(楽勝)だっ! とね。 ホント、ルミちゃんはツイてるよ。 キーマンさんはカワイイ物を愛してやまず、それに加えてスーパー器用な人なのだ。 他の誰にも出来なくたって、キーマンさんなら修復可能。 ココロがオドル、ワクワクする、修復作業に立ち会えるなんて、僕はベリベリハッピーだ!(あ、いけね。キーマンさんがうつっちゃった) チビクマを抱っこしたまま部屋の中におじゃました。 みんなが集まるその場所は、作業台と思われる大きな机の前だった。 机の上にはこれまた大きなタオルが敷かれ、チビクマの本体はそこでクタッと仰向けになっている。 ああ……改めて見てみると、やっぱり痛みが激しいな。 チビクマは、僕の腕から自分の本体(カラダ)を視てるけど、なんとも言えない表情だ。 こんなになった状態を、直視するのが辛いのかもしれない。 でもダイジョウブ、もうちょっとだよ。 キレイになったら本体(カラダ)に戻って、お姉さまに会いに行こう。 僕達が送って行くから、必ず会わせてあげるから。 長めの髪を一つに結わいたキーマンさんは、机の前で胡坐をかいて、僕に振り向きこう言った。 「チェリーボーイ、ナイスタイミングだ。ジャストナウ、ルミのリペアー(修復)をスタートさせる。ミッドナイトミラクルのファーストショット(一発目)、まずはコイツだ! レッツハッピーブラッシーング!」 ド深夜ゆえに音量抑え目、だけど声はすこぶる弾んで楽しげだ。 それを聞いたチビクマは『やっぱしヘンな喋り方!』とケラケラ笑い、続けて姫も(らん)さんも一緒になって笑いだす。 空気はとても穏やかで、そして希望に満ちていた。
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