第七章 霊媒師こぼれ話_レッツハッピーバスタイム

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『わぁ! すごっ! 俺の身体、泡だらけになったー!』 『うっなー-ーーん!』 あははは クマとネコのフワフワコンビが、洗面台の端に張り付き大騒ぎだよ。 目を真ん丸に、時々チョイチョイお手々を出して、そうかと思うとすぐ引っ込める。 ナニコレ可愛い、最高か。 「フフンフンフン♪ フフンフンフン♪ ハァッピィ♪ ハァッピィバスタァインム♪」 鼻歌歌うキーマンさんは、キッチンシャボンで本体(クマ)をモミモミ。 ゴシゴシしちゃうと痛むから、優しく優しくモミモミすれば、全身さらに泡だらけ(クマとネコは大興奮)。 そんな感じでたっぷり洗ったその後は、シャワワワワーとお湯で流してスッキリだ。 「アゥイェ! レッツネクスト!」 テンション高めで(でも小声)キーマンさんがそう言うと、助手の(らん)さんがササッと横からなにかを渡した。 あれはなんだ? 「ジェーン、サンクス! やっぱりコレがなくっちゃな! ベーキングソーダー!」 ベーキングソーダ? なんだそりゃ、初めて聞いたぞ。 興味深々、その正体を(らん)さんに聞いてみると。 「あ、あれはね、重曹だよ。お掃除とかにも使える粉なの」 おぉ! 重曹なら知ってる! 実家でよく母さんが、コンロの掃除に使ってた! てか重曹って ”ベーキングソーダ” って言うんだな。 で、 キーマンさんは、洗いたての本体(クマ)の身体に重曹をふりかけた。 大胆にも結構大量、粉だらけで真っ白だ。 そしてそれをモミモミしながら丁寧に馴染ませて、洗面台に栓をしたあと、お湯をたっぷり注ぎ込み、そのままつけ置き1時間。 最後の仕上げに細かい汚れを浮かすんだって。 …… ………… ……………… 一時間後。 待ってる間、お茶を飲んでのお喋りタイムを楽しんでから、洗面台に再び集合。 キーマンさんはお湯を抜き、シャワーでもってゆっくり優しく重曹を流してく。 それが終わると、今度はタオルでグルグル巻きに、上から押して水分を抜いていく。 「ランドリーが使えると良いんだが、今のボーイにはア・リトル(少し)、ハードだろうからな」 なるほど、そういう事か。 洗濯機で脱水したら早いけど、下手をするとボロボロになる可能性がある。 だからこうして、手間はかかるが手で水を抜いているんだ。 何度も何度もタオルを取り換え、根気のいる作業だよ。 そんな作業を繰り返し、やっとの事で水切りが完了となった。 だけどまだまだ濡れているから、どうするのかと思っていたら…… 「ネクストはレッツハッピーハンモーック!」 と、キーマンさんは、洗濯物を干すときに使うピンチハンガーを取り出した。 これまためちゃくちゃ可愛いくて、いっぱい下がる洗濯バサミがカエルの形になってるの。 そしてさらに取り出したるは洗濯ネット。 手洗い推奨、デリケートな衣類洗いに使うやつだ。 この中に本体(クマ)を入れるのかな? と思いきや、キーマンさんは四角いネットの4つの端を、ピンチハンガーの一番外側にいるカエルちゃん達に掴ませた……すると。 ワオ! 洗濯ネットがハンモックになっちゃった! 簡易ハンモック。 キーマンさんはその上に、そっと優しく本体(クマ)を寝かすと浴室へと移動した。 中を覗くと、天井には洗濯物を干す為の棒があり、そこに本体(クマ)をぶら下げた。 で、で、 「バスルームドライ、スィッチウォォォォン!!」←勢いはあるけど小声 浴室乾燥のボタンを押したのだ。
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