第七章 霊媒師こぼれ話_レッツハッピーバスタイム

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「これで……イエッス! ホールは全て塞がった! ネクストはハッピーファット(幸せ太り)! 痩せたボーイを真ん丸にしてしてやるぜ! イェアッ!」 キーマンさんはテンション高く、だけど時間は早朝なので小さな声でそう言った。 背中に張り付くチビクマはキャッキャキャッキャと嬉しそうにはしゃいでる。 そして神業。 糸を通した針を手にしたキーマンさんは、目にも止まらぬ速さでもって、バラした手足も尻尾も頭も、そして裂かれたおなかの傷も、ぜんぶ見事に縫い上げたんだ。 「どうだチェリーボーイ、ビックラッキー、(アーンド)ルミ。縫う時に中綿をたっぷりと足したから、スーパーキュートなハッピーファットになっただろう? ホントはな、中綿をオールチェンジでも良かったんだが、なるべくオリジナルのままにしておきたくて、ワザとそうはしなかった」 キラッ! 歯を光らせてキーマンさんがそう言うと、僕らは一斉、コクコクコクっと頷いた。 で、で、 綺麗になったしこれで終わりと思ったら、最後の仕上げともうひと手間。 穴が開いて補強した箇所、それ以外でも毛皮が薄くなっている箇所。 そこの補強に本体(クマ)と同じ茶色い毛糸を取り出すと(羊毛だって言ってた)、縫い針とは少し形が違う針で、埋め込むようにプスプスプスプスさしだしたんだ。 するとあらやだ摩訶不思議! 羊毛は見事に植毛。 薄かった複数箇所がフッサフサのファッサファサになちゃった! で、で、で、 ラストは小さなハサミでもって、長さと形を丁寧に整えていくと…… うわぁぁぁぁぁ!! めっちゃ可愛ぃぃぃぃ!! キュートなボタン目、真ん丸ボディ。 フワフワモコモコラブリーベアーが、台の上にちょこんとお座りしてたんだ!
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