第七章 霊媒師こぼれ話_レッツハッピーバスタイム

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「すごいよ、キーマンさん! あんなにドロドロだったのに、まるで新品みたいにピカピカだ! 毛皮もフワッフワ! 可愛い! めちゃくちゃ可愛いぃぃ!」 興奮せずにいられない! だってまさか、ここまでキレイになるなんて思わないよ! まさに神業、まさに神の手! キーマンさんはキラッと笑って親指を立て、一つに結わいた髪をほどいてリラックス。 そばにあったスマホを手に取り画面を見ながら、 「オリジナルとおんなじだ」 と息を吐く……って、なに見てるの? と思ったら、それは昨日、(らん)さんが車の中で描いていたチビクマのイラストだった。★ そっか、それを見ながら修復作業をしてたのか。 僕は机の上の本体(クマ)ちゃんと、キーマンさんの背中で固まるチビクマを、交互に何度もみくらべた。 「やっぱりそっくり、パーフェクト……!」←感動で震える僕 『うなな……うなっ!』←同じく感動、お得なニ尾を震わす大福 僕らでさえ、こんなんなるのだ。 当のクマはさぞかし感動してるだろうな、泣いちゃうかもしれないよ。 クマはいまだ、キーマンさんの背中にへばりついていた。 そこから下を覗き込み、ちっさな肩をプルプルプルプル震わせている。 そしてごくごく小さな声で、なにかを喋っているのだが…… 『………………ぅぅ……ぅぅ……』 やっぱり泣いてる……? 僕とお姫はさり気に近づき様子を伺う。 視ればクマは、真ん丸おててでボタンの両目を一生懸命ゴシゴシ擦り…… 『…………もどった……ほんとうにもどった……これで会える……またるりといっしょに暮らせるんだ……』 かすれた声で喜びを嚙みしめていた。 そうだよね……嬉しいよね。 この10年、ずっと辛かったんだもん。 頑張ったね、よくイチクマで耐えてきたね。 良かったね……本当に良かったね。 「ルミちゃん、本体(からだ)の中に入ってみたら?」 嬉しすぎて石化しているチビクマに、僕は話しかけてみた。 するとクマは、 『…………うん。入りたい……俺の本体(からだ)……キレイになった本体(からだ)…………でもその前に、キーマン(こいつ)にお礼が言いたい。そうでないと入れない……だってキーマン(こいつ)、ぜんぜん寝てない。岡村達が寝た後も、1人でずっと俺の事を直してくれたんだ。嫌な顔もしないでさ、ずっと鼻歌歌ってた……こいつ……ううん、キーマンは良いヤツだな。だからちゃんとお礼が言いたいんだ』 グズグズベソベソ、チビクマは泣きながらそう言った。 ああ……キミはさ、キーマンさんを ”良いヤツ” だって言うけどさ、キミだって良い子だよ。 だけどそうだね、お礼、言いたいよね。 じゃあ、お礼を言おうか。 もちろん直接、顔を視ながら。 僕は隣のお姫に目を向け、 「大福先生、」 一言いえば、お姫はコクッと頷いた。 直後、キーマンさんにオシリを向けて、お得な二尾を差し出した。 「ホワッツ? ビッグラッキー、どうした」 神の手を持つキーマンさんは不思議顔だ。 猫又の妖力で、キーマンさんにもお姫の姿は視えている……が、あくまでそれはお姫だけ。 チビクマの姿を視るなら、キーマンさんもチビクマも、同時に二尾に触れなきゃならない。 『うなぁん、』 姫はキュートに鳴いて、人の子と熊の子に尻尾に触れと言ったのだ。 ★(らん)は霊を視る事が出来ないキーマンの為に、参考資料にとチビクマのイラストを描いていました(リアルタッチ)。そのあたりのシーンがココです。 ちなみに(らん)は元ゲーム会社出身なのでイラストが上手です。 背景、キャラ、モンスター、小物、武器、萌え萌え美少女までなんでも描きます。普段、自宅で使用のお絵描きツールはワ〇ムの液晶タブレット32インチ、使用ソフトはクリ〇タです。(……って、ワコ〇の32インチは自分はほしくてたまらんヤツです。でも高くて買えねぇ……!) https://estar.jp/novels/24474083/viewer?page=1090&preview=1
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