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『キ、キーマンは、俺の姿が視えるのか……?』
おずおずとクマが問うと、
「イェェェス! ナウ、俺のアイズにはベリベリキュートなベアーボーイが映ってる。ボーイもそうなんだろう?」
キーマンさんは、クマのオハナに指をあてつつそう言った。
すごいぞ!
ご対面大成功だ!
”尻尾の術” は、キーマンさんは2回目だから、驚きもせず、ただただすっごく嬉しそう。
だけどクマはビックリしちゃってぎこちない。
だから僕は、緊張をとくためにも声をかけたんだ。
「ルミちゃん、大福の尻尾に触れてるかぎり、キーマンさんと話せるからね。お礼を言いたいんでしょう? キーマンさんも喜ぶと思うよ」
言いながら、カワユな頭をナデナデすると、クマはそこでハッとして、キーマンさんをプリティーすぎるボタンアイズで(あ、いけね、またキーマンさんが移っちゃった)視上げるとこう言った。
『そ、そうだった! キ、キーマン! あのさ、あのさ、俺のコト、キレイにしてくれてありがとな! まさかこんなにキレイになるとは思わなかった! これで、……これでまたるりと暮らせる、』
最後の方は、オハナをグズグズさせながら、チビクマは感謝の気持ちを口にした。
それを聞いたキーマンさんは、すっごく優しい顔をして、大きく首を振ったんだ。
『ボーイ、俺はなんにもしちゃいない。ハッピーなバスタイムをトゥギャザーしただけだ。元々ボーイはサイコーにプリティーなベアーだからな。俺はただ、ア リトル手伝ったにすぎない。それに……俺はプリティーポリスだ! プリティーをよりプリティーにする使命がある! それがみんなのハッピーに繋がるからな! ボーイがピカピカに戻ったら、ボーイはもちろんシスターも、それにかかわったチェリーボーイもジェーンもビックラッキーも俺もハッピーになれる! ボーイがみんなをハッピーにしたんだよ! イエァッ!」
『俺がみんなをハッピーに……? 俺が? 10年外で、あんなに汚れていた俺が? 高級なテディベアでもない、ただの安物の縫いぐるみなのに?』
「oh……! ボーイはなんにも分かっちゃいないんだな! プライス? そんなモノは関係ないし、10年外にいたのはロングなキャンプをしてただけ。なによりも大事なのは、ボーイ自身だ。連絡を受けたシスターは、あんなに喜んでいたじゃないか。愛されてるんだよ、ディープにな。シスターにとってはミリオンダラーのベアーより、ボーイの方が価値がある。ラブとはそういうものだ」
キラッ!
キーマンさんは歯を光らせて、拳を作って自身の胸を三回叩く。
それはまるで、”ココに愛があるんだよ” とでも言いたげだった。
ルミちゃんはそれを視ると、片手は尻尾にふれたまま、もう片方の丸いお手々でフワモコ胸をおんなじように3回叩いた。
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