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ダメだわ。
このままいくと、どんどん話がややこしくなっていく。
普段はとっても穏やかだけど、リーと同じで動物達が大好きすぎるシヴァだもの。
この辺で出て行かないと本当に現世に行っちゃいそうよ。
『へ、へにゃにゃ! なんで!? ひでみはなにかワルイコトをしたのかにょ!?』
”ぶん殴りに行く”、それを聞いて慌てるおはぎの毛皮がブワッと逆立った。
シヴァはすかさず身を乗り出して、斑の綿毛をむんずと掴むとそのまま胸に抱きしめる。
そして、
『ウチの仔達はシヴァが絶対守りますっ』
眼光鋭くこう宣言。
おはぎはおはぎで言ってる意味は分からないけど抱っこをされてご満悦、喉がゴロゴロ鳴り出した。
な、なにかしら……この取っ散らかりよう。
とりあえず……うな、急いだ方が良さそうね。
私は息を吸い込んでから、
『おはぎ、シヴァ、』
大きな声で名前を呼んだ。
するとヒトリとイチニャンは、揃ってこちらを向いたと同時、揃ってしばし固まった。
シヴァはおはぎを抱えたまんま、口をパクパクさせていたけど、そのあとすぐに…………ブワッ!!
目から涙をボタボタ垂らして仔猫の頭を濡らしてしまった。
『……小雪ちゃん? 本当に小雪ちゃんなの……?』←涙が止まらないシヴァ
『へにゃ! 小雪にまた会えた! 嬉しいにゃー!』←はしゃぎまくるおはぎ
テチテチテチと。
私はゆっくり歩いて行って、シヴァとおはぎの前に立つ。
シヴァはますます泣いてしまって、おはぎの頭がビショビショだ。
仔猫はそれを気にするでもなく、霊体を捩って私に向かって両手を伸ばし ”小雪、小雪” と嬉しそうに笑ってる。
ああ……私、虹に帰ってきたんだわ。
昔から……おはぎは私にべったりで、シヴァは意外と泣き虫で、……そう、ずっとずっとみんなで一緒にいたのよね。
来る日も来る日も笑い合って、家族みたいに過ごしてた。
しゃくりあげて泣いてるシヴァは、しゃがんで目線を合わせてくれた。
近い距離で私とヒトリとイチニャンと、お互い交互に顔を視る中、
『おはぎ、ちゃんとシヴァの言うコト聞いて手続きしなくちゃダメじゃない。まったく困った仔。でも……嬉しかったのよね。大好きなトウとカアに会えたんだもの、気持ちはわかるわ。シヴァは久しぶりね。もう、そんなに泣いて……大丈夫よ。私、現世で元気にやってるわ。シヴァも知ってる通り、今は生き人と一緒に暮らしてるの。とっても優しい人だから安心して、』
そう言うと、シヴァは息を吐いて微笑んで……
『……そう、そうなの……良かった、良かったわ……シヴァね、小雪ちゃんに会えて嬉しい、……嬉しいよ。おかえり、小雪ちゃん』
片手でおはぎを抱えたまんま、もう片方の腕を伸ばして私の事も抱きしめてくれたのだ。
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