第一章 霊媒師こぼれ話_岡村英海

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____ああそう、眠いの、疲れてるの。そうだよねぇ、無理もない。それでね、疲れているところ大変恐縮では御座いますが……出来ればその、今日出勤してくれないかなぁなんて! あはは……ダメ? 「えぇ! 課長今なんて言いました? これから出勤? 無理! 眠いから無理です! おゆるしくださいー!」 無理ぃぃ! VS お願いぃぃ! さすがに今日は絶対に退かないぞと思っていたのに……この戦いに勝利したのは課長の方だった。 ____そこをなんとか! いや、実はねぇ、今日突発で休むのは杉田さんなんだよ。朝早くに泣きながら私の携帯に連絡が来て、飼ってる猫の具合が悪くて病院に連れて行きたいって言うの。 なぬ!? 杉田さんちの猫、具合悪いの……? ____朝一番で病院に行くつもりだけど、帰ってきても着いててあげたいから今日は1日休みたいんだって。 それは当然だ。 確か杉田さんは一人暮らし、具合の悪い猫をイチニャンだけで置いていくなど出来る訳がない。 ____ほら、杉田さんが一般オペレーターなら良いんだけど、岡村君と同じ主任でしょう? 岡村君も杉田さんもいないんじゃあ、なにかあった時にどうにもならなくて……あ! もちろん休日出勤手当は出すし、代休で明日と明後日休んでいいから! お願いぃぃ! 助けてー! くぅ……こんなの、断れるはずがないよ。 杉田さんとは仲良しなんだ。 同じ主任同士、……なんだけど、仕事の話はほとんどしない。 99%猫の話をしてる、ニボシちゃんが(杉田さんちの猫の名前)体調不良と言うのなら今日はずっと着いててほしい。 だとすると、僕はもうこう答えるしかないのだ。 「わかりました……、岡村英海(ひでみ)、本日出勤させていただきますっ!」
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