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◆
それから____
私とおはぎはみんなと一緒にたっぷり遊んで、気付けば空は茜色。
そろそろオウチに帰る頃だと、お互いに匂いを嗅いで、またねと鼻をくっつけ合った。
犬猫ウサギに亀もヘビもフェレットも、それぞれ広場を後にする。
昔なら、私とおはぎもココでバイバイしてたけど……
『小雪、小雪、おはぎたちもオウチにかえるにゃ。小雪はきのうトウとカアの子供になって、おはぎのホントのおねえちゃんになったんだにゃ。だからおんなじオウチにかえるの。サンたちもよろこぶにゃ。とくにトラの兄ちゃんたちは、まえから小雪が家族になればイイって言ってたもん!』★★
言いながら、小さな霊体をドチッとぶつけて歩き出す。
長い尻尾をピンと立て、細かくプルプル震わせて、”はやくはやく” と私を急かす斑の綿毛がニコニコ笑うものだから、思わずつられて笑ってしまった。
私が笑うとおはぎは弾み、
『へにゃふはーん♪ へにゃはにゃーん♪ にゃにゃにゃぁん♪』
ゴキゲンで歌まで歌い始めたの。
正直言ってあんまり上手じゃないけれど、十数年も聞き慣れた懐かしい歌声だ。
仔猫は夕日を浴びながら、何度も何度もこちらを向いた。
目が合うたびにその目を細め、歩くごとに霊体を摺り寄せ、恥ずかしそうに『おねえちゃん』と私を呼んだ。
呼ばれるたびに胸の奥がポカポカしてくる。
それはまるで英海に抱っこされてるみたいな温かさ……ああ、ニャン生とは不思議なものね。
生きてた頃は ”ひとネッコ”(一人っ子)、だのに命が無くなってから、こんなに家族が増えたんだもの。
……
…………
テチテチテチテチ
おはぎと一緒にのんびり歩いて十数分、小高い丘が視えてきた。
茜の夕日は暮れて消え、天を仰げば落ちてきそうな星空が、遥か遠くに目線を移せば色鮮やかな七色が、キラキラ煌めき夜空に橋を架けている。
うな……ココも懐かしいわねぇ。
虹にいた頃しょっちゅう遊びに来てたんだもの。
目を瞑ってたって来れちゃう場所よ。
おはぎとフタニャン、ゆるやかな坂を上ったそのテッペン。
そこにあるのは大きな木。
太い幹に豊かな枝葉がモシャモシャで、パッと視はブロッコリーによく似てる。
ココが……
『オウチに着いたにゃー!』
そう、おはぎをはじめ、岡村家の猫達が住む家なのだ。
視た目はただの大きな木だけど、
『ただいまぁ』
言いながら、太い幹を足でチョイチョイするおはぎ。
すると幹は光輝き、さっきまでは無かったはずの小さなドアが現れた。
慣れてるおはぎはテクテク中へと進んでく。
おはぎ程じゃないけれど、そこそこ慣れてる私も続けてテチテチ中へと入り込む。
入った奥は、木の中とは思えないよな広い空間。
ゆったりとして明かりは暖色(あんまり眩しいと猫にはツライ)。
その明かりも変わったモノで、魚の形の動くライトがあちこち好きに宙を泳ぐ。
床は茶色で毛足の長い絨毯が、天井には猫サイズの吊り橋が、壁にはやはり猫サイズの踏み板が、段違いにたくさん取り付けられていた。
その他にも大きくてフッカフカのクッションがいくつも転がり、毛糸の玉や長い紐……要は ”猫が喜ぶあらゆるモノが揃った部屋” なのだ。
★トウとカアが大福も岡村家の子供!と言ってるシーンがこの辺りです(霊媒師募集の本編に飛びます)
https://estar.jp/novels/24474083/viewer?page=1884&preview=1
続きまして、
★岡村家で飼われていたトラの仔三兄弟が小雪も岡村家に来れば良いと言ってるシーンがこの辺りです(霊媒師募集の本編に飛びます)
https://estar.jp/novels/24474083/viewer?page=1808&preview=1
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