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新しく ”小雪セット” が揃ったトコロで、おはぎがソワソワしはじめた。
私のまわりを行ったり来たりで目線は上を向いている、……にゃにゃーん、さてはオヤツが気になってるのね。
そうよね、ずっと我慢をしてたんだもの。
分かったわ、そろそろみんなで食べましょう。
『おはぎ、おいで。うなな! みんなもチョット来てくれる? あのね、実はね、現世にいるトウとカアがオヤツを持たせてくれだんけど……』
と、声を掛けたその瞬間、
『へにゃ! まってたにゃーっ!』←斑の仔猫
『『『『『『『にゃぬ!?』』』』』』』←のこる7匹
ココ1番の機敏な動きで、にゃっと言う間にグルリとまわりを囲まれた。
そして、
『トウとカアがオヤツを!?』←いつもの落ち着きドコ行った、三毛猫のサン
『トウとカアがみんなに!?』←お口パッカーン、ハチワレ模様のシャチ
『『トウもカアも大好き!』』←オセロな双子、しらたまとくろたま
『はにゃっ! ちゅるー!!』←ちゅるー大好き、茶トラの茶々丸
『ひにゃっ! シーパッ!!』←シーパ大好き、キジトラのキジ丸
『ふにゃっ! ヒデミッ!?』←英海はオヤツではない、サバトラのサバ丸
『へにゃ! はやくはやく!』←昼から待ってた、綿毛のおはぎ
にゃんにゃかにゃんにゃか大騒ぎが始まったのよ(こうなると思っていたけど)。
『うなな! みんな落ち着いて! 大丈夫よ、いっぱいあるから! 今出してあげr、あ、ちょ、茶々丸近い近い! サバ丸も近っ! キジ丸はなんで踊ってるの! うなっ! おはぎはまた尻尾吸って!』
うなははは!
オヤツを出したいだけなのに、なんでこんなに大変なのよ!
本当にもう、家族が増えると賑やかね。
英海と一緒も楽しいけれど、猫同士でわちゃわちゃするのも悪くない。
はしゃぐ猫ズをなんとかおさえて前足2本を華麗にゴソゴソ。
首に下げてる風呂敷包みを(ホントはカアのハンカチ(大)だけど)ほどいて降ろして床の上に広げたの。
そこにあるのは ”ちゅるー” と ”シーパ”、味違いで色んな種類が混ざってる。
それと、ラップに包んだ無添加カリカリ、これもやっぱり味違いで大量だ。
ぜんぶを並べ終えた途端、
『『『『『『『『にゃぁぁぁぁぁぁぁ♪』』』』』』』』
歓声が沸き上がる、その同時。
……スンスン、
…………スンスンスンスン、
………………スンスンスン、
目を閉じた猫達が、揃って匂いを嗅ぎだした。
……
…………
美味しいオヤツ、
懐かしいオヤツ、
生きてた頃に食べてたオヤツ、
大好物は目の前で、すぐにでも食べるものだと思ってた。
だけど食べない、……猫達は気が付いたのだ。
美味しそうなオヤツの匂いに紛れ込み、大好きなトウとカアと英海の匂いがしてると。
スンスン……
スンスンスンスン……
スンスンスン……
それからしばらく……
猫達は鼻の頭を擦りつけ、声も出さずに家族の匂いを嗅いでいたのだ。
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