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当時はまだ幼かったお姉ちゃん。
人の子とは言え集まるカラスは怖いだろうに、それでも必死に大声出して、両手を振り上げ追い払ってくれたのよ。
あの時の事、今でもちゃんと覚えてる。
私を囲む黒い影が無くなって、代わり、小さな両手に抱き上げられた。
突つかれた私の身体は血だらけで、……ううん、それだけじゃない。
生まれた時から野良の私は、埃だらけの泥だらけ。
ノミもいっぱいいたはずなのに、お姉ちゃんはまるでそんなの気にしてなかった。
私を抱いて足早に家に帰ると、
「ママァ!! 猫ちゃんが死んじゃうぅぅ!!」
って叫んでた。
今思えば、お母さんもびっくりよね。
幼い娘が帰ってきたと思ったら、血だらけのキタイナイ仔猫を抱えて大泣きしてるんだもの。
でもね、お母さんも優しい人だった。
あれこれ事情を聞く前に、大きなタオルで私をくるむと、娘を連れて自転車漕いで……そう、向かった先は動物病院。
そこで私は治療を受けて一命を取り留めたの。
治療を終えて、でも、だからといってすぐに元気に歩けるでもなく、身体中がズキズキ痛むしお腹はペコペコ。
このあと私はどうなるのかと不安で不安でたまらなかった。
助けてはくれたけど……こんな身体で次にカラスに襲われたら、悪童共に追いかけられたら、走って逃げる事すらできない。
私はどこで降ろされるのか、元いた場所に戻されるのか、そう考えると気が気じゃなかった。
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