第八章 霊媒師こぼれ話_白猫の小雪

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◆ 虹でサンに視送られ、言霊唱えて瞬間移動。 三尾を一振りするより早く、黄泉の国に到着にゃ。 黄泉の国____ 命を持たない死人(しびと)の楽園、善人しかいない国。 住人は人の子だけにとどまらず、ありとあらゆる者達が、笑い合い、許し合い、尊重し合って住まう国。 髪の色、瞳の色、肌の色、そんなもので区別はしない。 にゃんてったって、黄泉にいるのは地球の子だけじゃないんだもの。 バンブー星、ダーマン星、コナモノ星、ダイテ星、コニ星……と、早い話が地球外非生命体(・・・・・・・)がわんさかいるのだ。 死人(しびと)のるつぼ、インターナショナル、グローバル、ワールドワイド……ま、呼び方はなんでもいいけど、とにかく、多星籍な大きな国で間違いない。 この広い黄泉のどこかにお姉ちゃんがいる、……だけど一体どこから探せば良いのだろうか。 霊視をするにもこの規模じゃあ、ある程度の絞り込みが必要にゃ。 そう思ってやってきたのは……国中にたくさんある大きな街のひとつ、ミセレイニアスよ。 視渡せば雲まで届くノッポの建物、ズラッと並ぶお店屋さん、買い物好きの英海(ひでみ)が視たら大喜びしそうだわ。 ここはとっても賑やかで、遊ぶところがいっぱいあるから街は(ひと)で溢れてる。 でも、(ひと)が多いのはそれだけが理由じゃない。 この街を中心に【黄泉の国入出国センター】、【光道開通部(こうどうかいつうぶ)】、【光道開通部(こうどうかいつうぶ)機械棟】、などの各機関が集中してるから。 入国したての死者達と、その付き添いの光道の職員達。 入国は済んでいるけど、まだ来たばかりで分からない事を聞きに来た住人達……なんかも大勢いるの。 お姉ちゃんが虹の国にハムの小雪(・・・・・)を迎えに来たのは現世時間で4月頃、……という事は、入国してまだ数か月しかたっていない。 慣れない黄泉での新生活、きっと、各機関が立ち並ぶミセレイニアス近辺に住んでるはずだ(たぶん)。 だからまずは、ここから探してみようと思う。 とは言え……街はすこぶる賑やかで、右を視ても左を視ても、にゃんだったら(うえ)を視ても(ひと)がいる。 霊視をするにもガヤガヤしすぎて集中できない。 ココはひとつ、静かな場所に移動したいところだわ。 でも、どこに行ったら良いのかしら。 ミセレイニアスは春に1度平蔵と来てるけど、そんなに詳しくないのよね……と、困っていた時だった。 突然、後ろから声をかけられたのよ。 それはとっても綺麗な声。 たとえるのなら、ガラスでこさえた鈴の()によく似てる。 『……あら? ……もしかして、 大福ちゃんじゃない?』 にゃ? と思って振り返る……するとそこには。 黒のタンクトップ、迷彩柄のズボンを履いて軍隊みたいな編み上げブーツ。 視上げる程に大きな霊体(からだ)は誠みたいに筋骨隆々。 私を視つめる驚き顔が、瞬き三つで溶けきったその(ひと)は…… 『うなな! 久しぶりだにゃー!』 春に黄泉に来た時に、仲良くなった白雪だったのだ!★ ★春に先代と黄泉の国に逝った大福は、その時に白雪に戦闘の修行をつけてもらってます。そのコトがチラっと書いてあるのがこのあたりです。(『霊媒師募集』本編に飛びます) https://estar.jp/novels/24474083/viewer?page=1447&preview=1
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