第八章 霊媒師こぼれ話_白猫の小雪

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びっくりしすぎて思わず口がパカンと開いて、閉じる事さえ忘れてしまう。 そんな私に白雪は、 『だ、大福ちゃん? どうしたの? フレーメン反応みたいなお顔になってるわ。え? 予想以上に広くて驚いちゃったの? ああ、そうよね。前に来た時は地上の、ミセレイニアス近辺にずっといたんだものね。ほら、黄泉は多星籍な国でしょう? (ひと)の数だけ広いのよ。それで……どう? この中から視つけられそう?』 言いながら、私の頭を優しく一撫ぜしてくれた。 その手がとっても温かくって、だからなんとか気合いを入れてこう言ったのよ。 『が、頑張る。だって、どうしても会いたいもの。それにほら、お姉ちゃんは黄泉に来て数か月しか経ってない。まだまだ分からないコトだらけで、きっと、ミセレイニアス近辺に住んでるはずだわ。だからこの辺を中心に探してみる』 そう、冷静になるの。 広さに惑わされないで、お姉ちゃんの行動を読むの。 我ながら良い考えだと思ってた、これならいけるとも。 なのに、それを聞いた白雪は、申し訳なさそうな顔でボソボソと…… 『あ……うん、そうね、そうだと良いんだけど……そうとは限らないと思うのよ。だって、黄泉の国には移動の陣が国中に設置されてるから、どの場所からでも、陣を使えば一瞬で移動が可能だもの。どんなに遠くに住んだとしても、ミセレイニアスにすぐ来れるのよね、』 こんなコトを言いだしたのだ。 『うな……そうか、そうよね、陣があったんだわ……という事は、捜索範囲は黄泉の国全部って事じゃない……詰んだにゃ……』 これはマズイ、……うな、そりゃあね、どんなに広くても、時間をかけて地道に探せば視つかるとは思うのよ。 でも、現世に英海(ひでみ)を残したままで、あの子に心配かけたくない。 私がいないとイイ大人が本気で泣くし、現場にだって出るだろうから手助けしたいの。 頭の中はグルングルン。 あれやこれやと考えて、せっかく黄泉の国(ココ)までやってきたけど、諦めるしかないかもと決めかけた時だった。 突然、目の前で白雪がしゃがみ込み、私と目線を合わせたの。 そして、 『大丈夫! 詰んでないわ。心配しないで、大福ちゃんはイチニャンじゃない。私も一緒に探すから! それと、今回は助っ人が必要みたいね。陸底海空異(・・・・・)と広い範囲を難としないで探せる(ひと)に頼りましょう! 大福ちゃんも良く知る(ひと)、彰司くんにお願いするの!』 拳を握り力強く、瀬山を呼ぶと言ったのにゃ!
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