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◆
彰司と佐知子と白雪と。
三霊のヒトの子達にお礼を言って、草の大地を蹴り上げた。
走って向かうは藁ぶき屋根の、彰司の家の裏手にまわった勝手口。
ああ、気持ちが急いて転びそうだわ。
それでもなんとか走りに走って到着すると、そこにはポツンと ”移動の陣” が、草に紛れてソーダの光を放っていたの。
『あった! これね、』
この陣は佐知子専用。
瞬間移動が出来ない妻が(普通の霊は出来なくて当たり前だけど)、どこかに一霊で出かける時に使えるよう、特別に、彰司が設置したものらしい。
彰司はさっき、
____大ちゃん、お姉さんを視つけたよ
と、こう言った。
そして続けてこうとも言った。
____お姉さんの住む街は、ミセレイニアスからうんと離れた場所だ、
____歩いて行くには遠すぎる、
____かと言って、大ちゃんが知らない場所では瞬間移動が使えない、★
____だから、ウチにある移動の陣を使えば良いよ、
____陣に乗ったその上で、街の名前を呟くだけで移動が出来る、
____名前は、その街の名は…………
『陣よ! 私を今すぐ ”プレサスメリル” に連れてって!』
陣に飛び乗り私はすぐに、教えてもらった街の名前を大きな声で叫んだの。
知らない街、お姉ちゃんが住んでる街、……そこに行けば会えるんだ、お姉ちゃんに、大好きなお姉ちゃんに……!
ソーダみたいな青みがかった緑色。
強まる光に霊体が包まれ、猫の目にはウルサくてたまらない。
眩い光に目を細め、堪えきれずにシパシパ瞬き、……1回目はただただ眩し、2回目は少し収まりかけてきて、3回目が終わった時は視える景色がガラリと変わった。
……
…………
そこは、街というより村のような場所だった。
ミセレイニアスにあるような、ノッポなビルはどこにもない。
背の低い民家のような建物が、ポツリポツリとまばらにあって、とてものどかで、どこか無性に懐かしい……そんな所だった。
『…………うな……着いたにゃ……ここが……”プレサスメリル” ……』
ここに、お姉ちゃんがいるんだ。
★瞬間移動のスキルについて書いてあるシーンがこのあたりです。
このスキルの話が出たのが数年前なので、念の為にリンクを貼りつけました。
『霊媒師募集』本編に飛びます。
https://estar.jp/novels/24474083/viewer?page=625&preview=1
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