第八章 霊媒師こぼれ話_白猫の小雪

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そうだわ、あの霊達に聞いてみよう。 お姉ちゃんを知っているかもしれないもの。 そうと決まれば、あぜ道をタタッとダッシュ。 にゃっと言う間に5霊のそばに、ハイ、到着! 『あの、』 声を、掛けてみた。 初対面だし、作業中だし、だからチョット控えめに。 5霊はすぐに応えてくれた……が。 『あら? こんな所に猫ちゃんが! ピー!』 『なんて可愛い! この子はどこかのオウチの子かしら? ピヨー!』 『いや、待って。コニ星の猫族かもしれないわ、ピピピピ!』 『いやいや待って! 視てよ! 尻尾が3本ある! ピヨーン!』 『という事は、ダーマン星の神族かも! ピピピー!』 なんとう騒がし……ゲフンゲフン、もとい、賑やかさ。 全員揃って声がデカイ。 しかもめちゃくちゃ通るのよ。 真白な霊体(からだ)と真白なクチバシ、フワフワ羽毛に、泥に埋まった細い足。 思い出したわ、この霊達はバード星のハッカチョ族。 誰にでも友好的で、情に脆くて世話好きな鳥が多いと有名なの。 とりあえずの自己紹介。 コニ星の猫族じゃなく、ダーマン星の神族でもない、私はただの地球の猫又。 (ひと)を探しにやって来たと説明すると、あれやこれやと勢いのある質問攻めに。 ゴチュン 対 イチニャン。 息つくヒマなく、それらすべてに回答し終えたそのすぐ後。 頭にピンクのハチマキ鳥が、ピコーンと閃き羽をバサッと重ねると、 『ピョー! 分かった! 大福が探しているヒト族は、この先に住んでいる優子ちゃんだわ! 確かあすこは、優子ちゃんの家族が先に住んでいて、後からちっこい白ハムスターと一緒に来たの! ピー!』 それは元気な大きな声で教えてくれたのだ。
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