第八章 霊媒師こぼれ話_白猫の小雪

38/80
前へ
/370ページ
次へ
まぁ、待たせるよりは、先に行っててもらった方が気が楽だけど。 そう言えば……”目印をつけておけば” とかなんとか言ってたわね。 目印ってなにかしら? そう思って辺りを視れば…………あぜ道に、パラパラ落ちてる光る物があったのよ。 あれはなにかしら……? タタッと寄って、顔を近付け視てみると…… 『これ、お米だわ。でも、現世のものより粒が少し大きいかしら。それになにより宝石みたいに光ってる。あら、このお米……点々と向こうの道まで続いているわ……ああ、そうか。これが目印なのね。このお米を追って行けば、お姉ちゃんのオウチに着くんだわ、』 まるで ”ヘンデルとグレーテル” だ。 ハッカチョ族はせっかちだけど、ちゃんとこうして教えてくれる。 ありがたいわ……よし、それじゃあ、この宝石みたいなお米を追って、行ってみましょう。 …… ………… ……………… それから、お日様はみるみるうちに沈んで消えて、空の色は柿色から藍色へと変化した。 暗いあぜ道、お米はキラキラ輝いて、テチテチテチテチ歩いて行けば……あ、あれは……! 大きくもない、小さくもない、現世日本で良く視るような二階建て。 そこの前で、玄関先で、鳥の子と人の子の影が視てとれた。 そして、 『優子ちゃん、こんばんは! 今日は取れたてのお米を持ってきたわぁ! ピピー!』 ハッカチョ族の大きな声。 そのすぐ後には、 『わぁ! いつもありがとうございます! 嬉しいなぁ!』 生きてた頃もその後も、ずっとずっと忘れなかった、……大好きな(ひと)の声が聞こえてきたのだ。 3f0514e8-baac-49c6-b44c-fa98402ce6c5 ※余談ですが……お米は次の日ハッカチョ族が回収する予定です(*´▽`*)
/370ページ

最初のコメントを投稿しよう!

473人が本棚に入れています
本棚に追加