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____心当りが全然ない、
ああ……そうか、
やっぱり……そうか、
分かってる、分かってた、
ただちょっと、僅かな希望に縋っただけ、
ただちょっと、もしかしたらと思っただけ、
だからぜんぜんだいじょうぶ、
お姉ちゃんが私を忘れてしまっても、
私はずっと忘れないもの、
両目を閉じれば遠い昔を思い出す、
”小雪” だった私を抱いてニコニコ笑うお姉ちゃん、
私達は仲良しだった、
その過去はなにがあっても変わらない、
ダイジョブニャ、ダイジョブニャ、
久しぶりに元気な顔が視れたんだもの、
それだけで充分だ、
『…………本当に、充分だわ』
誰に聞かすでないけれど、私は小さく呟いた。
もう帰ろう、会わずに帰ろう。
サンのところに、英海のところに帰るんだ。
私は最後に、おしろい花の陰に隠れてお姉ちゃんを視上げたの。
テンポの速いハッカチョ族と楽しそうにお喋りしてる。
笑いながら言葉を投げ合い、ラリーは延々続いてるのよ。
どうやら心配なさそうね。
お姉ちゃんが生きてた頃の最後の方は、認知症だったと聞いている。
今の様子を視てみれば、そんな様子は欠片もない。
それはおそらく黄泉に来てから完治したんだ。
黄泉が誇る ”オートリカバー”。
死者の霊体に不調があっても、これによって健康体に修復可能。
記憶なんて二の次でかまわない。
認知症が治ったのならそれで良い。
★大福が小雪だった頃。
妖力もない、尻尾もたった1本だった頃です。
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