第八章 霊媒師こぼれ話_白猫の小雪

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…… ………… 忍び足なら得意技。 私は誰にも知られぬように、霊体(からだ)を伏せて後ずさる。 昼間に過ごした原っぱで、土産に摘んだシロツメクサをそっと置き、ゆっくりジリジリお姉ちゃんから距離を取る。 うな……我ながら未練がましい。 帰るのだったら瞬間移動を使えば良いのに、それなら誰にも視つからないのに。 ギリギリまでお姉ちゃんを視ていたい、ギリギリまでお姉ちゃんの声が聞きたい……そう欲張ってしまったの。 だけどこれが悪かった。 みんなが立ってる玄関先から、目測距離で3メートル。 そこまで下がったその時に、ふと、ハッカチョ族のそのうち一霊(いちわ)と目が合った。 目線バチコーン! 『う、うなっ!』←薄暗い中匍匐後進中(ほふくこうしんちゅう)の私 『ピャッ!?』←急に目が合いビビリ倒す鳥の子 お互いに視合ったまんまでフリーズ10秒。 その間、私は必死に ”黙ってて!” と声に出さずに訴えた。 顔をブンブン横に振り、察してくれと、そりゃあガッツリ伝えたつもりだったのに。 この鳥の子は、パァァァッと顔を輝かせ、くちばしをパカーッと開けると、 『やっだ! 大福じゃなーい! 目印分かってくれたのね! 待ってたピョー!』 月夜に響き渡るよな、大きな声で言いやがったのにゃっ! 38750dcb-44d5-4aab-b149-89032f9c32f7 ★大福が原っぱで摘んでおいたお土産のシロツメクサです(*´ω`)
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