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お……姉ちゃん……?
今、なんて言った……?
____私も昔集めてたけど、
そう、言ったわよね?
それからこうとも、
____千本ちょっとしか集まらなくて、
そう、そうよ。
ヒゲが千本集まった時、”どこに行ったら尻尾と取り換えてもらえるのかな?” って、笑いながら話してた。
取り換えるあてもないのに、それでも拾い集めてた。
アナタはそれを宝物だと言っていた。
もしかして、記憶が戻りかけてるの?
ああでも、
____私……なにを言ってるのかしら、
____私が一緒に暮らしていたのはハムスター、
____猫は飼った事がなかったはず、
私との思い出は、ハムスターに塗り替えられてる。
違うのに、私もアナタと過ごしたのに。
お願い、もう少しだけ思い出して。
私の事、私との時間を。
首を傾げるお姉ちゃん。
一点視つめて、なにかを考え込んでいる。
私の胸は爆発しそうにドキドキしてて、今にもどうにかなりそうだった。
『あの……』
声を、かけてみた。
どんな話をしたら良いのか、そんなのぜんぜん分からないけど、それでも声をかけたんだ。
お姉ちゃんは顔を下げると、その場にしゃがんで私と視線を合わせてくれた。
うな……うな……ち、近いにゃ、お姉ちゃんの匂いがするにゃ。
『あ、あの……あの……』
嬉しくて、懐かしくって、言葉がうまく出てきてくれない。
なにか言わなきゃ、出来る事なら思い出してもらいたい。
捨てたはずの淡い期待が再び胸に宿り出す。
『あの……あの……』
情けない、まるで ”借りてきた猫” ね。
私がモジモジしていると、
『ん? なぁに?』
そう言って、頭を撫でてくれたのよ。
その瞬間、胸がぎゅうっと締め付けられた。
細い指、手のひらは温かくって、肌がとってもすべすべしている。
お姉ちゃんは優しく頭を数回撫でて、その後は、耳の後ろをコチョコチョしだす、…………ああ、そうよ。
生きてた頃、いつもこうして頭と耳をセットで撫でた。
私はそれが大好きで、気持ち良くって心地よくって安心したの。
ねぇ、思い出して、私を思い出して。
湾曲された手のひらの中。
滲む涙を視られぬように、頭を押し付けこすっていると、ゴロロゴロロと喉が自然に鳴り出した。
これも昔とおんなじだ。
喉が鳴るとアナタは毎回、
____小雪が嬉しいと私も嬉しい、
そう言って笑ってくれた。
ねぇ、久しぶりに笑って、”私も嬉しい” って言ってよ。
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