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瞬きも、息する事さえ放棄して、望む言葉を縋る思いで待っていた。
待ってる間も喉は鳴り、地面に着いた四肢がかすかに震えてる。
お姉ちゃんは喉の音に気が付くと、私を撫でる手を止めた。
『さっきからこの音……もしかして、大福ちゃんの喉の音?』
聞かれた私はコクッと頷き、顔を上げるとお姉ちゃんと近い距離で目が合った。
ゴロロ……ゴロロ……ゴロゴロゴロゴロ
音はますます大きくなって、しばしの無言を埋めていく。
お姉ちゃんは私を視たまま、なにかを考え込んでいる。
ゴロゴロゴロゴロ……ゴロゴロゴロゴロ……
お姉ちゃん、黙ったままだ……思い出しているのかな。
どこかに落とした記憶の欠片を視つけて拾って、繋ぎ合わせているのかな。
ゴロゴロゴロ……ゴロゴロゴロゴロ……
頭の上に置かれたままの手のひらは、温かくってすべすべだけど、撫でる事なく止まったままだ。
思案の表情も固まって、……笑ってほしいと思うのに、たったの一言 ”私も嬉しい”、その言葉がほしいのに、望みはどちらも叶わないまま時間だけが過ぎていく。
ゴロゴロ……ゴロゴロゴロ……
ねぇ、笑ってよ、
ゴロロ……ゴロゴロ……
”嬉しい” って言ってよ、
ゴロゴロ……ゴロ……
”小雪” って呼んでよ、
ゴロ……ゴロ……、
結局。
お姉ちゃんはなにかをずっと考え込んで、だけど、その答えは出ないままだった。
『私……なにか大事な事を忘れてる気がするの……でも、考えても考えてもそれがなんだか分からなくって……』
……
…………
………………そっか、
…………思い出せないか、
ううん、良いの。
思い出せなくても、それがなんだか分からなくても、アナタはそれを ”大事な事” だと言ったんだもの。
記憶の欠片が繋がる事はなかったけれど、でも、……でも…………そうよ、これ以上望んだらバチが当たるわ。
本当は、虹で会ったあの日が最後で二度と会えないはずだった。
なのに会えた、頭を撫でてもらえた、それだけで満足しなくちゃ。
思い出してもらえなくても、”小雪” と呼んでもらえなくても、アナタの中に私がいなくても、それでも、それでじゅうぶn____
____ダッ!!
気付いた時には走り出していた。
満足しなくちゃいけないはずが耐えられなかった。
こみ上げて、目の前で泣き出しそうで、とてもじゃないけど強くなんかいられなくって逃げ出したんだ。
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