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ピーピー! vs うななー!
とっ散らかったこの状況。
とにかく私は早く此処から逃げ出したくてたまらなかった。
それなのに、ハッカチョ族は容赦がない。
寄ってたかって羽でバサバサ(羽だから痛くはない)、『逃がさない』だの『泊まっていけ』だの『面倒だからウチに住め』だの話がどんどん飛躍する。
『ちょ! 待って! せっかち! は、羽ぇ! くすぐったぁ!』
どうしたもんかと焦っていた時だった。
遠くの方からザッザッザッという足音と、かすかな声が聞こえてきたの。
走っているのかハァハァと息を切らしたその声は、時々途切れてなんだかとっても苦しそう。
最初はハッキリ聞こえなかった……が、夜風に紛れたその声は、だんだん近づき大きくなって、そしてとうとう、声の主が此処まで走って目の前に立ったんだ。
現れたその霊は、お姉ちゃんだった。
走ったせいか長い髪は振り乱れ、背中を丸めて息を切らして苦し気だけど、それでも、力強く顔を上げると震える声でこう言ったんだ。
『こ、こらーーー! そ、そ、その猫ちゃんからはなれろーーー! わ、悪いカラスめ! ど、どっか行け! 猫ちゃんをいじめるなーーー!』
……
…………それを聞いた時、
私は石のように動けなくなった。
遠い遠いいつかの昔。
まだ私が生きていた頃、まだ私が生まれて間もない頃。
お母にゃんとはぐれた私はカラスの群れに襲われた。
あの時とおんなじ言葉……、必死な声……、聞き間違いじゃない……!
お姉ちゃんの剣幕に、ハッカチョ族は『い、いじめてないピョ!』と大いに焦って後ろに下がった。
その瞬間、
『こっちにおいで!』
お姉ちゃんは震える両手で私を抱きしめ、地面の上に蹲ったのだ。
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