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彰司の話は私の胸をこれでもかと揺さぶった。
____あのね、
話と言うのは岡村さんの事なんだ。
彼は今、大ちゃんがいない中、1人で現場を回ってる。
岡村さんは新人だから、依頼の中でも軽めの現場に行けるように、平ちゃんが調整していたらしいんだけど……今回、どうしても霊媒師が足らずに重たい現場を任さざるを得なくなったんだって。
そこの現場は悪霊だらけで狂暴化もしているらしく、理想としては中堅あたりが行くのが1番、間違っても新人1人で行く所ではない。
だからと言ってヘルプに回せる霊媒師もいないし、岡村さんは ”ダイジョブだから” と結局ソロで向かってしまったんだ。
確かにね、彼はただの新人ではない。
”希少の子” だから持ってる霊力は誰よりも強いし、霊的なスタミナも桁外れだ。
ただ、心配なのは霊力があっても技術は未熟、それになにより人が好過ぎるでしょ。
悪霊にまんまと騙され出し抜かれる可能性がある、出来る事なら大ちゃんが傍に憑いててくれたらなって思ったの。
平ちゃんもね、岡村さんに言ったんだ。
”大福ちゃんに戻ってきてもらいましょう” って。
だがそれを岡村さんが拒否してね。
”姫は今頃、お姉さまと幸せな時間を過ごしてるんだ。だから絶対呼び戻さないよ。姫の意思で戻って来るまで僕は待つ。それと、大福に心配かけたくないからさ、このコトは内緒にしといてくださいよ”、そう言ったそうだ。
私はね、この件で平ちゃんから相談を受けたんだよ。
彼の気持ちを考えたら、尊重したら、言われた通りに内緒にすべきと思うけど……内緒にしといて万が一岡村さんになにかあったら、きっと大ちゃんは自分を責めてしまうんじゃないかって思ったの。
それで……私も平ちゃんも悩みに悩んで、岡村さんには悪いけど、大ちゃんには現世の状況を話しておこうと決めたんだ。
聞いた上で、大ちゃんがどう判断するのかは任せるよ。
どちらにしても心配はしなくていい。
イザとなったら私が現世に行ってくるから。
ごめんね……こんな時にこんな話をしてしまった。
大ちゃんの事だ、本当は今すぐにでも現世に飛んで行きたいと思っているんだろう?
でも、行くとなったらお姉さまに事情を説明して、尚且つ、彼女と離れて現世に行くのを納得してもらわなくてはならない。
だけどそれが難しい。
おそらくは、…………この先ずっと、黄泉で一緒に二度と離れず暮らせると、心の底から信じているだろうから。
……
…………
………………
まったくもって……彰司の言う通りだ。
お姉ちゃんは信じてる。
もう二度と離れ離れにならないのだと、黄泉の国で千年経っても一緒にいると、そう信じて疑わないの。
私は一体、…………なんと言えばいいのだろう。
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