第二章 霊媒師こぼれ話_持丸平蔵と清水誠ー1

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ホント、色々ありました。 決して簡単ではなかったし、苦労もたくさんありました。 最初は安いアパートで、自宅兼会社としてたった1人のスタートでしたが、良いご縁に恵まれてねぇ。 霊力(ちから)もある、心もある、素晴らしい人達が集まってくれました。 そのおかげで今では自社ビルを持つまでに成長したのだから……ふふ、自分でも驚いちゃいますよ。 私一人じゃあ、とてもじゃないけどココまでこれなかったでしょう。 苦労が苦労でなくなって、毎日が楽しかった。 このままずっと、ずーーーーっと、霊媒師でいよう、社員達(こどもたち)と頑張っていきましょうと思っていたけど……年には勝てませんでした。 去年あたりから身体の調子がおかしくなって、入退院を繰り返したけど今年の2月にとうとう命が終わってしまった。 私は生涯独身貴族、故に ”素敵な奥さん” はいなかったけど、素敵な子供達がたくさんいたから、”おくりび” のあの子達が私を看取ってくれました。 そのあとの葬式やら火葬やら納骨まで、みんなあの子達がしてくれて……もう、ありがたくって頭が上がりません。 涙涙のお別れ……ではなかったけれど、そもそもお別れでもなかったれど………… ____オイ、ジジィ! 葬式のプランはどうする? ____会社の関係者も来るようだから、あんまりショボくてもアレだろ、 ____いっその事ド派手によ、棺桶ゴンドラに乗せちまうか! と、これは清水君。 霊力(ちから)腕力(ちから)もあり、普段は呆れる程にふざけているけど実は対人スキルも高い立派な青年。 私の跡を継いで二代目社長はこの子しかいませんでした。 ____これでやっと病気から解放されたな!  ____もうどこも苦しくないんだろう? 良かった…… ____社長! じゃなかった先代!  ____これもひとつの快気祝いだよ! 飲も飲も! と、これは……ちゃん。 霊力(ちから)が強くて喧嘩も強い、口はワルイし大酒飲みだし、だけど本当はとても繊細な優しい子。 ____自分、先代の大好きな芋饅頭たくさん持ってきました、 ____今まで食べられなかった分、思う存分召し上がってください! ____あ、それと、さっき黄泉の国に連絡しておきましたから、 ____先代はしばらく現世に残るから光る道は伸ばさなくて良いって、 と、これは……君。 一番の年上のしっかり者、困った人を放っておけない優しい子。 だけど本当は淋しがりやで、心の奥に大きな迷いを抱えてる。 私はそこが心配でとてもじゃないけど成仏なんか出来ません。
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