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鼻の頭をますます赤くさせながら、お姉ちゃんは涙を溢して私をギュッと抱きしめた。
何度も ”ごめん” とあやまりながら、膝を着き、私を地面に降ろしたの。
いつもだったら賑やかな、ハッカチョ族はなにも話さずクチバシを閉ざしてる。
ハムの小雪はオロオロしながら野草の陰からこちらを視ている。
私は彼らを順に視た後、お姉ちゃんに視線を移すと力を失くした瞳の中で私がユラリと歪んでいた。
胸が、痛くなる。
『……お姉ちゃん、お姉ちゃん……お願い、泣かないで、……違うの、お姉ちゃんは悪くない、ううん、誰も悪くないの。どっちが好きとかキライとか、そういうのでもない、……私は、私は、お姉ちゃんも英海も両方好きなの、同じくらいに大好きなのよ、』
どうにか分かってもらいたい。
フタリは私を助けてくれた。
他も誰でもない、優子と英海が孤独の淵から救ってくれたの。
それなのに、
____こんなお姉ちゃんより、
____その人の所に行きたいよね、
こんな悲しい事……言わないでよ。
私は一歩前に出て、土の上で背中を丸めて蹲る、お姉ちゃんにゴチンと頭を擦りつけた。
アナタなら分かるはずよ。
猫の頭突きは ”愛しています” の意味だって。
お姉ちゃんは震える両手で私を撫でると、さっき以上につっかえながら、なんとか言葉を絞り出す。
『でも……でも……こ、小雪は現世に行くんでしょう? や、やっと、……あ、会えたのに……や、やっと思い出せたのに……こ、これから、ず、ずっと、い、一緒に、いられると……お、思ったのに、……で、でも、悪いのは、お、お姉ちゃんだもの、……仕方がない、わ、分かってる、分かってるんだけど、……か、悲しくて、ど、どうしようもなく悲しくて、』
ここまで話すと嗚咽が一層激しくなって、私の胸は潰れそうになったんだ。
気持ちが揺らぐ、どうしていいのか分からない。
こんなに泣いてるアナタを視るのは、私の命が終わったあの日以来だもの。
『…………お姉ちゃん、』
声をかけた、……でも、この後が続かない。
数瞬の沈黙後。
お姉ちゃんは泣きながら、私を掴むとそのまま胸に抱きしめた。
強く、うんと強く、隙間なんかどこにもないほどギュッとされ、耳元では ”小雪、小雪” と掠れた声が繰り返される。
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