第八章 霊媒師こぼれ話_白猫の小雪

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____英海(ひでみ)さんには敵いそうにない、 そう呟いたお姉ちゃんは、土の上にペタリと座り込んでしまった。 腕もダラリと下げたまま揺れる稲穂を視つめてる。 涙の跡で頬がカピカピしてるけど……今はもう泣いてはいない。 『……小雪、』 お姉ちゃんが私を呼んだ。 こちらを向いたその顔は、赤い目をして、だけどどこか穏やかだった。 『……なぁに?』 私が一言答えると、お姉ちゃんは背中を丸めて顔を近付けこう言った。 『……小雪は現世にいて幸せ?』 『うな、……とっても幸せよ』 『そっか……良かった。英海(ひでみ)さん、優しそうだもんね』 『そうね、優しさしかない子だわ』 『猫好き?』 『猫好きなんてモンじゃない。お姉ちゃんとおんなじで ”猫廃人”よ』 『猫に関してちゃんと知識を持ってる? 食べたらいけない物とか知ってる?』 『お姉ちゃんと同じくらい知ってるし、食べ物には厳しいわね』 『疲れていても遊んでくれる?』 『お姉ちゃんと同じよ。どんなに疲れていても遊んでくれるわ』 『反対に小雪が眠い時はそっとしておいてくれる?』 『ええ、もちろん。私が起きるまで撫でないし静かにしてくれる。これもお姉ちゃんとおんなじ』 と、ここまで話すとお姉ちゃんは言葉を止めてポカンとした。 だけどその後口元をモゴモゴさせたと思ったら、 『…………ぷはっ! なにそれ、ぜんぶ私と同じなの?』 吹き出して、歯を視せながら笑ったの。 お姉ちゃんはまた泣いちゃって、でも、指で涙を拭いながら笑ってる。 私はそれが嬉しくて、一緒になって笑ってしまった。 お姉ちゃんが笑ってくれると私も嬉しい。 英海(ひでみ)が笑ってもやっぱり嬉しい。 どっちが好きとか順番なんか決められないよ。 私は、フタリ共大好きなんだ。
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