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『小雪、忘れ物はない? 現世まで気を付けて行くのよ? 途中でなにかあったらすぐに黄泉に戻っておいで! お仕事も頑張ってね、あ、でも無理をしたらダメだからね! それから、それから、』
お、お姉ちゃん、落ち着いて。
ダイジョブだから、黄泉から現世は瞬き1つで到着するから。
なにも心配いらないわ。
____お姉ちゃんが納得してくれた。
たくさん話して英海の事も分かってくれて、これから現世に戻る私を視送ってくれてるの。
視送りはお姉ちゃんだけじゃない。
『小雪! 優子の事は私達に任せてちょうだい! ピピー!』
『優子が淋しくないように、毎日お米を届けるわ ピョー!』
『小雪もちょこちょこ帰ってきなさいよ? 待ってるわ! ピピピッ』
『今度は小雪も一緒に田んぼをしましょ! ピョー!』
『そうよ! 田んぼのお米でみんなでおにぎり食べるのよ! ピーッ!』
相変わらず賑やかなハッカチョ族の鳥の子達と、
『キュッキュッ! チュッチュッ! キュー!』
相変わらず甘えん坊で私に抱き着くハムの小雪も。
ああ、なんだかここは温かい。
緑豊かなプレサスメリルは大事な家族と大事な友人達がいる、私の居場所の1つだわ。
『ハッカチョのみんなにはいっぱいお世話になったわね。光るお米の道しるべ、あれはとっても助かったわ。優しくしてくれてありがとう。また黄泉に戻って来たらお米を一緒に作らせてね。小雪もありがとう。久しぶりに会えて嬉しかった。虹ではずぅっと一緒だったものね。小雪……私はあなたが大好きよ。お姉ちゃんの事、よろしくね。お父さんとお母さんの言う事を良く聞いて、たくさん食べてたくさん遊んで元気でいてね。また戻ってくるから、また会えるからね』
私にひっつき離れない、ハムの小雪をお姉ちゃんが両手でそっと包み込む。
そしてそのまま肩に乗せると、真っ赤な目をして地面にしゃがみ、私と目線を合わせたの。
『小雪、小雪……もっとよく顔を視せて、……ああ、やっぱり小雪は可愛いねぇ……金色のおめめ、毛皮は雪みたいに真っ白で、こんなに綺麗な猫は現世でも黄泉でも視た事がないよ。……小雪、大好きよ』
”小雪、大好きよ” 、この言葉を今まで何回言われただろう。
言われるたびに嬉しくなった。
昔も今も、普通の猫から三尾になった私だけれど嬉しい気持ちは変わらない。
そう、私としては変わっていないつもりでいるけど……
『私もお姉ちゃんが大好き。……ねぇ、お姉ちゃんはいつだって私に ”大好き” って言ってくれるよね』
『うん、だっていっつも大好きなんだもの』
『そっかぁ、すごくすごく嬉しいよ。お姉ちゃん、あのね、1つだけ聞いても良い?』
『ん、なぁに?』
『……あのね、お姉ちゃんは……猫の私がヒトの言葉をこんなに話しても引かないの? いくら黄泉で慣れたからって、私、その……話し過ぎたかなって。化け猫みたいで怖くないのかなぁって、』
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