第八章 霊媒師こぼれ話_白猫の小雪

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◆ ____ブンッ、 瞬き一つで現世に到着。 着いたのは、 『ん!? 大福ちゃん!』←平蔵 「え!? あ! 大福ちゃぁぁぁん!」←ユリ ”おくりび事務所”。 まずはココで英海(ひでみ)の居場所を聞かなくちゃ。 『平蔵、ユリ、挨拶は抜きよ。彰司から話を聞いて帰ってきたわ。私の英海(ひでみ)は今どこにいるの?』 手短にそう聞くと秒の早さでユリが答えた。 「現場の住所はS県H市✕✕町9010番地、廃工場の跡地だよ! 悪霊が複数いると思われて難易度高、岡村さんはそこに1人で行っちゃったの!」 S県H市なら前に行った事があるわね。 それならすぐに視つけられる、そこに行きつつ英海(ひでみ)の気配を探せばいい。 慌てるユリのすぐ後に、同じく慌てる平蔵が滑り込む。 『大福ちゃん、よく戻ってきてくれたね! 岡村君を助けてあげて! 私は事務所(ここ)を離れる事が出来ないし、どうしてもならショウちゃんに行ってもらおうと思ってたんです! 大福ちゃぁぁぁん! 本当にありがとねぇぇぇぇ!』 ううん。 良いのよ、分かってる。 ユリは仕事が出来るけど、まだ入社して1年も経っていない。 しかも初めての繁忙期だもの、どうしたってサポートが必要よ。 ユリのサポートは平蔵が、英海(ひでみ)のサポートは他の誰でもない、私がするわ! 『場所は把握、ありがとう! じゃあ行ってくるわね!』 ブンッ、と2回目。 瞬間移動のスキルを発動。 瞬き一つで着いたのは____ ____崩れたコンクリ、廃材の山、 剥き出しの鉄筋に、うっそうとした草木が絡む廃工場。 ここのどこかに英海(ひでみ)がいるはず、だけど近くに姿が視えない。 どこ? どこにいる? 転がる瓦礫と赤錆と、荒れた敷地で私は耳を澄ませたの。 すると、 …………ゆ、許してくれ、   …………俺達が悪かった、 ……もう悪い事はしない、      …………約束するから、 縋るような低い声がかすかに聞こえた。 それと同時に聞こえてきたのは、 …………本当ですか?    ……本当に信じても良いんですか? ……んー……どうしようかなぁ …………そこまで言うなら信じようかなぁ 今の、英海(ひでみ)の声だわ! 私は即座に駆け出した。 嫌な予感がガシガシする、あの子は人が好すぎるの。 悪霊の魂乞いにコロッと騙され、酷い目に遭わされるかも。 心配よ、早く、早く行かなくちゃ! 声が聞こえる方向に全速力で走りに走ったその先に、薄っすらとした人影が視えた。 目を凝らしよくよく視れば、視れば、……うな、うなななな……うなっ! いたーーーーーーー! 私の英海(ひでみ)! 視つけたにゃーーーーー!
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