第八章 霊媒師こぼれ話_白猫の小雪

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距離はあるけど無事発見! 荒れた大地に英海(ひでみ)はのそりと立っていた。 あの子の周りはドーナツ状、事切れた悪霊達がこれでもかと積み上がる(1人でこんなに倒したの!? エライにゃー!)。 そんな英海(ひでみ)のすぐ近くには、腕や足に霊矢が刺さって顔面蒼白、三霊(さんにん)の悪霊達がいた。 彼奴等(きゃつら)は地面に這いつくばって、英海(ひでみ)に縋っているトコだっだ。 『本当だ! 俺達は改心したんだ!』←悪霊その1 『もう二度と悪い事はしねぇ!』←悪霊その2 『約束するから助けてくれ!』←悪霊その3 あ、怪しいにゃ! 英海(ひでみ)待って、簡単に信じちゃダメよ! 私は更に加速した! 間に合って、お願いだから! そんな私の気持ちも知らず英海(ひでみ)ときたら、 「んー……本当? 本当に本当に本当? 信じて良いの? もう悪いコトしない?」 ちょーーーー!  信じかけてるーーーー! 待ちなさいっ!  その三霊(さんにん)をよく視て! 俯いて泣きマネしながら、視えないように舌を出してる! 悪い顔! これ絶対! ぜーーーーったい改心なんかしてないわ! 『俺達を信じてくれるのか?(ニヤ)』←悪霊その1 『おまえ優しいなぁ!(ニヤニヤ)』←悪霊その2 『ありがてぇ!(ニヤニヤニヤ)』←悪霊その3 悪霊達は顔を視合わせニヤーッと笑い、呑気な英海(ひでみ)はそれにぜんぜん気づいてない! 待って! もうちょっと! あとちょっとでそこまで行ける! 「……分かりました。僕はあなた達を信じます。だけど罪は罪だ。それを償い、時間はかかるかもだけど、黄泉の国に認めてもらえるように頑張りましょう」 うなーー! お人好しにも程があるわよ! 仏のような ”信じる” 発言、英海(ひでみ)は霊矢を引っ込めて、代わりに右手を差し出した。 それを視た悪霊共は、 『『『 うひひっ! 兄ちゃんありがとよっ! おまえがマヌケで助かったぜぇい!』』』 両手を上げてガバッと立つと、あろうことか私の英海(ひでみ)に襲いかかろうとしてるじゃない!! させるかぁぁぁっ!! 『うっなーーーーーーっ!!!』 ラストスパートで踏み込んで、ボフンッと変化(へんげ)で軽トラサイズにスケールアップ! 普段は6キロ、今は890キロの重量ボディをお見舞してやるっ!★ ドッスーーン!! 『『『 おぁ!? グハァッ!!! 』』』←悪霊その1~3 ふぅ……間一髪にゃ。 ウソツキな悪霊共は、英海(ひでみ)に害を成す前に私がプレスしてやった! 英海(ひでみ)はポカンと口を開けっぱ。 地面で潰れる悪霊共と私を交互に何度も視ながら、 「えぇ!? な、なに!? だ、大福、どうしてココに!?」 あばあばと、オタオタと、キョロキョロと、なんせとにかく慌てふためき落ち着かない。 なにか言おうと口をパクパクさせるけど、それ以上言葉が出なくて結局…… バフッ、 両手を広げて私に抱き着き、そのままギュウッとしがみついて離れてくれない。 悪霊達が全滅した廃工場。 英海(ひでみ)の鼻をすする音だけ、……ただそれだけが、私の耳に心地良く響いていたのだ。 ★軽トラックの車体の重さはメーカーによって異なりますが、ネットで見ると700キロ~890キロだそうです🚙 ★長らくかかりましたが明日の更新で『大福編』はラストとなります。 あと少しだけお付き合いいただけたら嬉しいです(*´ω`)
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