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距離はあるけど無事発見!
荒れた大地に英海はのそりと立っていた。
あの子の周りはドーナツ状、事切れた悪霊達がこれでもかと積み上がる(1人でこんなに倒したの!? エライにゃー!)。
そんな英海のすぐ近くには、腕や足に霊矢が刺さって顔面蒼白、三霊の悪霊達がいた。
彼奴等は地面に這いつくばって、英海に縋っているトコだっだ。
『本当だ! 俺達は改心したんだ!』←悪霊その1
『もう二度と悪い事はしねぇ!』←悪霊その2
『約束するから助けてくれ!』←悪霊その3
あ、怪しいにゃ!
英海待って、簡単に信じちゃダメよ!
私は更に加速した!
間に合って、お願いだから!
そんな私の気持ちも知らず英海ときたら、
「んー……本当? 本当に本当に本当? 信じて良いの? もう悪いコトしない?」
ちょーーーー!
信じかけてるーーーー!
待ちなさいっ!
その三霊をよく視て!
俯いて泣きマネしながら、視えないように舌を出してる!
悪い顔! これ絶対! ぜーーーーったい改心なんかしてないわ!
『俺達を信じてくれるのか?(ニヤ)』←悪霊その1
『おまえ優しいなぁ!(ニヤニヤ)』←悪霊その2
『ありがてぇ!(ニヤニヤニヤ)』←悪霊その3
悪霊達は顔を視合わせニヤーッと笑い、呑気な英海はそれにぜんぜん気づいてない!
待って! もうちょっと! あとちょっとでそこまで行ける!
「……分かりました。僕はあなた達を信じます。だけど罪は罪だ。それを償い、時間はかかるかもだけど、黄泉の国に認めてもらえるように頑張りましょう」
うなーー!
お人好しにも程があるわよ!
仏のような ”信じる” 発言、英海は霊矢を引っ込めて、代わりに右手を差し出した。
それを視た悪霊共は、
『『『 うひひっ! 兄ちゃんありがとよっ! おまえがマヌケで助かったぜぇい!』』』
両手を上げてガバッと立つと、あろうことか私の英海に襲いかかろうとしてるじゃない!!
させるかぁぁぁっ!!
『うっなーーーーーーっ!!!』
ラストスパートで踏み込んで、ボフンッと変化で軽トラサイズにスケールアップ!
普段は6キロ、今は890キロの重量ボディをお見舞してやるっ!★
ドッスーーン!!
『『『 おぁ!? グハァッ!!! 』』』←悪霊その1~3
ふぅ……間一髪にゃ。
ウソツキな悪霊共は、英海に害を成す前に私がプレスしてやった!
英海はポカンと口を開けっぱ。
地面で潰れる悪霊共と私を交互に何度も視ながら、
「えぇ!? な、なに!? だ、大福、どうしてココに!?」
あばあばと、オタオタと、キョロキョロと、なんせとにかく慌てふためき落ち着かない。
なにか言おうと口をパクパクさせるけど、それ以上言葉が出なくて結局……
バフッ、
両手を広げて私に抱き着き、そのままギュウッとしがみついて離れてくれない。
悪霊達が全滅した廃工場。
英海の鼻をすする音だけ、……ただそれだけが、私の耳に心地良く響いていたのだ。
★軽トラックの車体の重さはメーカーによって異なりますが、ネットで見ると700キロ~890キロだそうです🚙
★長らくかかりましたが明日の更新で『大福編』はラストとなります。
あと少しだけお付き合いいただけたら嬉しいです(*´ω`)
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