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それから英海は____
初めて会ったあの日のように、スーツに泥が付くのも構わず地面の上にペタンと座った。
そして、変化を解いた私をギュウッと抱きしめたのよ。
うな……あったかい。
「……大福はどうしてここに? 黄泉の国にいたんじゃないの?」
私の頭に鼻を押し付けフゴフゴしながら英海が言った。
そうね、少し前まで黄泉にいたわ。
でもね、帰ってきたの。
英海に会いに、英海を助けに。
『うな、うなななな……うなぁん』
私が猫語で答えると、英海は眉毛をハの字にさて心配そうにこう聞いた。
「帰ってきたって……お姉さまは? その……会えたんでしょ?」
『うな、うっなー、うなななな。うなぁん、うなうなうな』
「わぁ! ちゃんと会えたんだ! ああ……良かった! しかも、お姉さまは大福の事を思い出してくれたんだね! ……そっかぁ……そっかぁ……ずっと心配だったんだ……送り出したは良いけど、お姫が泣いてたらどうしようって思ってた。はぁぁぁ……安心したよぉ!」
そう言って泣き笑う、英海もお姉ちゃんとおんなじだわ。
”うなうな” だけで通じ合う、心と心で繋がっている。
私は、ここ数週間の黄泉で起こったすべてのコトを話して聞かせた。
おはぎの入国手続きのコト、岡村家の歴代の猫達のコト、虹の国の管理人シヴァのコト、白雪のコト、彰司と佐知子のコト、ハムの小雪とハッカチョ族のコト、それからお姉ちゃんのコトも。
そうそうそれと、現世で英海がソロの現場でピンチなコトは、彰司がコッソリ教えてくれたコトもね(どうせ後でバレるだろうし)。
すると英海は口を尖らせ、
「んもー、内緒だって言ったのにー。大福、ごめんね。せっかくお姉さまと過ごしていたのに……僕がヘタレなばっかりにジャマしちゃったよぉ」
ショボーンと涙目、みるみる萎んでうなだれた。
まったく、泣いたり笑ったりショボンとしたりで忙しいわね。
ジャマな訳ないじゃない。
どこにいたって駆け付ける、どんな時でも助けてあげる。
だって、英海は私の大事な子だもの。
お姉ちゃんとおんなじくらいに愛してるのよ。
そんな愛しい私の英海はショボショボのメソメソで……
「うぅ……うぅ……お姫ぇ……ごめんよぉぉ……僕のせいで、お姉さまとの時間が……うぅ、うぅ……うわぁぁん!」
やだ、英海ったら強がってたけどよっぽど淋しかったのね。
泣いちゃって、いつもの3倍グズグズしてるわ。
仕方のない子、手のかかる子、本当に…………大好きよ。
うなな、どれくらい好きかと言うと、
ゴチッ! ゴチッ! ゴチッ!
愛を込めて頭突きを三発キメちゃうくらいにゃー!
第八章 霊媒師こぼれ話_白猫の小雪__了
★またも長くなった『大福編』を最後まで読んでいただいて、本当にありがとうございました(*´ω`)💕
お付き合いいただいた皆さまに深く感謝申し上げます✨
『大福編』は今夜で完結ですが、明日の0時にあとがきっぽいものと、いただいた素敵なイラスト、豪華8枚をご紹介させていただきますので、どうぞよろしくお願いします(*´▽`*)ノシ
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