第九章 霊媒師こぼれ話_エイミウの星の砂

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~~~今日のデートはネコネコ写真展・エイミー視点~~~ 今日は朝からココロがオドル。 2人の休みが合うなんて、ここんとこ久しくなかった。 仕事はキライじゃないけれど、なんてったってシフトはすべて現場次第。 直行直帰で、早ければその日のうちに帰ってこれるが、長引けば泊まりになるし、終わるまでは帰れない。 今は秋で繁忙期は終わったけれど、それでもやっぱり、それを過ぎてもなんやかんやと忙しいからシフトはギュウギュウのパツパツなのだ。 あぁ……せめてなぁ……もう少し霊媒師(ひと)がいればなぁ。 あと2人……いや、1人でも良いから! なぁんて、そんなコトを考えるけど、これが中々良い人が見つからない。 ま、そりゃそうだよね。 ウチの会社の必須スキルは、エクセルでもないワードでもない、霊力(ちから)があるかどうかだもん。 簡単には見つからないよ。 そんなんだから、僕の後に誰ひとり入社してない。 いまだペーペー、いまだ下っ端、それはそれで気楽で良いけど。 や、だけど実際、よくもまぁこの人数で回すよね。 これもみんな、ウチの面子が揃いも揃って手練れだから、それで何とかなってるの(僕はヘボイけど、お姫に助けてもらってる!)。 ホントにスゴイよ、…………特に水渦(みうず)さんはガチだ。 霊力(ちから)が強くて冷静沈着、印はどんなに高度なモノでも結んじゃう。 昔は少々性格に難アリで、霊力(ちから)の強さと非情さばかりが目立っていたけど、今ではそこに優しさが加わった。 もうね、そうなったら無敵だよ。 悪霊達は瞬滅し、善霊達には親身になって話を聞きだし黄泉の国へと送り出す。 それでいて無駄な動きが一切ないから、繁忙期では処理件数がダントツだった(しかもクレーム無し)。 大袈裟ではなく2人分の仕事をしてるし、僕より3倍優秀なのは確定だ。 で、それだけだってグレートなのに、水渦(みうず)さんはココ数年で見た目が変わった。 なんて言うか…………すっごくすっごく綺麗になった。 昔はさ、今よりもっとぽっちゃりしてて、髪も短く顔も幼くボーイッシュな感じがしてた。 お化粧もしてなかったし、服もラフで、気楽に話せる雰囲気だった。 だけど今は、伸ばしかけの髪を綺麗に一つにまとめて、お化粧も似合っているし、服もオシャレで大人っぽいの。 僕はさ、そんな彼女を見るたびに胸がドキドキしちゃうんだ。 あんまり見たら怒られそうで、頑張って自然を装い笑うけど、本当は眩しくてたまらない。 こんなに綺麗な女性がさ、僕を好いてくれるなんて、まるで奇跡みたいだよ。
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