第九章 霊媒師こぼれ話_エイミウの星の砂

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「岡村さん……さっきから何ですか? 人の顔をジロジロ見て、」 あ、いけね。 あんまり見てたら怒られそうだと思った矢先にコレですよ。 まったくもう、僕ってヤツは。 「ご、ごめん、なんでもないから気にしないで」 本当はさ、アナタが綺麗で見惚れてたんだ……って、正直に言っても良いけどココは駅前、まわりに人が大勢いるから恥ずかしくって言えないの。 「ふぅん……(ジーーー)、何か言いたげに見えましたけど、私の気のせいですか?」 うっ……! 僕を見上げるジト目の圧がハンパじゃない。 水渦(みうず)さんは昔も今も目力がスゴイんだ。 なので僕は、 「う、うん、気のせいだよ!」 勢い任せにごまかした。 で、話が煙に巻かれた所で話題を変えた。 「それよりも、今日は僕に付き合わせちゃってごめんね。だけど、どーーーーしても、今日はココに来たかったの。猫の写真展!」 そう。 今日はココ、K駅前にあるデパートの催事場で、猫好きなら誰もが知ってる猫写真家、石合(いしごう)さん(神)の ”ネコネコ写真展” が開催されるのだ! 猫に愛され猫を愛する石合さんの、愛情溢れるキュートな猫フォト。 僕はそれを穴が開くほど見つめたい。 そしてたっぷり見つめた後は、写真展限定のお宝グッズを購入予定。 猫のハンカチ、猫のティーシャツ、猫のノートに猫のスタンプ、猫のマグ、猫缶バッヂは全種類買うつもり(スーツジャケットの内側に着けちゃうよ!)。 とまぁ、僕にとってはビックイベント、ウハウハデー!……なんだけど、水渦(みうず)さんにしてみれば、”ポカーン、ナニソレ、ネコデスカ、ソウデスカ” だと思うのよ。 だから最初は付き合わせるのは悪いと思って、別の日に1人で来ようと思ってた。 それなのに、 「先日も申し上げたはずです。謝る必要はありません。確かに私は、特別に猫が好きとは言いませんが、嫌いでもありません。それに、此処数年で猫と鳥には(・・・・・)だいぶ慣れてきましたし」 こう言って、僕に合わせてくれるんだ。 話し方は相も変わらずぶっきらぼうだしバリ敬語、でもさ、すっごく優しい人だよね。
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