474人が本棚に入れています
本棚に追加
「岡村さん……さっきから何ですか? 人の顔をジロジロ見て、」
あ、いけね。
あんまり見てたら怒られそうだと思った矢先にコレですよ。
まったくもう、僕ってヤツは。
「ご、ごめん、なんでもないから気にしないで」
本当はさ、アナタが綺麗で見惚れてたんだ……って、正直に言っても良いけどココは駅前、まわりに人が大勢いるから恥ずかしくって言えないの。
「ふぅん……(ジーーー)、何か言いたげに見えましたけど、私の気のせいですか?」
うっ……!
僕を見上げるジト目の圧がハンパじゃない。
水渦さんは昔も今も目力がスゴイんだ。
なので僕は、
「う、うん、気のせいだよ!」
勢い任せにごまかした。
で、話が煙に巻かれた所で話題を変えた。
「それよりも、今日は僕に付き合わせちゃってごめんね。だけど、どーーーーしても、今日はココに来たかったの。猫の写真展!」
そう。
今日はココ、K駅前にあるデパートの催事場で、猫好きなら誰もが知ってる猫写真家、石合さん(神)の ”ネコネコ写真展” が開催されるのだ!
猫に愛され猫を愛する石合さんの、愛情溢れるキュートな猫フォト。
僕はそれを穴が開くほど見つめたい。
そしてたっぷり見つめた後は、写真展限定のお宝グッズを購入予定。
猫のハンカチ、猫のティーシャツ、猫のノートに猫のスタンプ、猫のマグ、猫缶バッヂは全種類買うつもり(スーツジャケットの内側に着けちゃうよ!)。
とまぁ、僕にとってはビックイベント、ウハウハデー!……なんだけど、水渦さんにしてみれば、”ポカーン、ナニソレ、ネコデスカ、ソウデスカ” だと思うのよ。
だから最初は付き合わせるのは悪いと思って、別の日に1人で来ようと思ってた。
それなのに、
「先日も申し上げたはずです。謝る必要はありません。確かに私は、特別に猫が好きとは言いませんが、嫌いでもありません。それに、此処数年で猫と鳥にはだいぶ慣れてきましたし」
こう言って、僕に合わせてくれるんだ。
話し方は相も変わらずぶっきらぼうだしバリ敬語、でもさ、すっごく優しい人だよね。
最初のコメントを投稿しよう!