第九章 霊媒師こぼれ話_エイミウの星の砂

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◆ AM11:38 IN ”ネコネコ写真展”。 猫の写真を穴が開くほど見つめた後は、お楽しみの限定グッズコーナーです。 戻ってしまった。 朝一番では敬語が崩れて ”うん、いいよ”、なんてラフな返事をくれたというのに、 「岡村さん、こちらにいらしてください。このミルクパンは ”石合氏ネコネコグッズ” の新作だそうです。直径16センチ、高さ9センチ、全長は取っ手を含めて30センチ。使い勝手の良いサイズです。また、パンの側面には石合氏がスペインで撮った白猫がプリントされています。材質はほうろう用鋼板、ガスコンロは勿論IH調理器にも対応。パンの内側にはメモリも付いて、機能性も兼ね備えているようですね。素晴らしい一品です。猫グッズの数々を所有する岡村さんでも、これはお持ちでないのでは?」 オカタイ敬語に逆戻り。 だけど……ぷっ! なんでそんなにパンの説明ガチなのよ。 や、ごめ、良いんだけどさ、普段の僕はお鍋を買う時そこまでちゃんと見てないし、大きさもパッと見だけで決めちゃうし、そもそも猫のミルクパンならコンロになんかかけられないし(写真とはいえ猫に火なんてとんでもない!)、買っても部屋に飾る用になっちゃうし。 それなのにこの人は、自分がほしいワケでもないのに、僕が好きそなグッズを見つけちゃこうやって教えてくれる。 「岡村さん、こちらには猫のアクリルスタンドがありました。サイズ展開は高さ5センチ、7センチ、10センチ、15センチの4種類、……あっ! 此処にもスペインで撮った白猫がいます。岡村さんの好きな猫ですよね、」 あはは、今度はスタンドか。 それこそアナタ、まったく興味ないでしょうよ(ミルクパンはまだ分かるけど)。
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