第九章 霊媒師こぼれ話_エイミウの星の砂

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至って真面目な顔だけど、右手にスタンド、左手にはミルクパン。 それぞれ確保でさらにウロウロし始めたと思ったら…… 「岡村さん、白猫の腹巻が此処に。サイズ展開はS、M、L、LL。そしてヒートテックです」 ぶはっ! なんなのこの人、なんでこんなに可愛いの? 敬語でも敬語じゃなくても、どっちにしたって可愛いわ。 笑っちゃうよ。 初めて出会った6年前は、僕に向かっていきなり霊矢を撃ち込んだのに。 大きな声で怒鳴り散らすわ、なにを言っても聞く耳持たずで ”綺麗事には反吐が出ます” とバッサリ斬るわ……本当になんて女性(ひと)だと呆れたけれど、それがまさか付き合う事になるなんて、まったくまったく思わなかった。 あー、当時の僕に教えてあげたい。 目の前の分からず屋でおヘソ曲がりは数年後、世界で1番大事な女性(ひと)になるんだよって。 …… ………… 「岡村さん……さっきから何ですか? 人の顔をジロジロ見て、」 あ、いけね。 またやっちゃった。 朝も怒られ反省したのにコレですよ。 まったくもう、僕ってヤツは。 「ううん、なんでもない。ねぇ、そろそろお昼だよ。グッズを買ったらランチに行こう。……と言うコトで、アナタのお勧め、ミルクパンとスタンドと腹巻を買ってくる。あ、腹巻は2枚買うよ。僕と水渦(みうず)さんの分。2人でお揃いにするんだ」 ”お揃い!?” 真っ赤な顔で固まる ”カノジョ” の頭を撫でて、カゴに入れたグッズをレジに持っていく。 お会計が終わったらゴハンにしよう。 好きな物を、美味しい物を、僕達2人でシェアして食べるの。 ハーブティーを飲みながら、ゴハンの後はデザートなんかも食べながら、ゆっくりたくさんお喋りしよう。 さぁ、水渦(みうず)さんはなにが食べたい?
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