第九章 霊媒師こぼれ話_エイミウの星の砂

11/102
前へ
/372ページ
次へ
◆ デパートを出て、少し歩いて小さなカフェにやってきた。 板壁がミントブルーのおとぎ話に出てくるような可愛らしい外観で、中に入ると低い天井、飴色のテーブルセットと同じ色の木枠の窓が落ち着いた雰囲気だ。 初めて来たカフェだけど、これはどうも ”アタリ” の予感。 ここに決めた理由と言えば、水渦(みうず)さんのリクエストである「美味しいシチューが食べたいです」これだったのだが、お店探しに道をのんびり歩いていたら……惹かれる外観、それと、ドアの近くに立てかけられた黒板に ”ビーフシチューとキッシュ” の文字がピンクのチョークで書いてあり、そのままフラーッと吸い込まれてしまったのだ。 席に着いて、水渦(みうず)さんはビーフシチューとキッシュのセット、僕はと言えば、鶏肉のハーブ焼きとキッシュのセットをオーダーし、しばし料理が来るのを待った。 「いやぁ、”ネコネコ写真展” は最高だったよ。世界中のあんなネコこんなネコ、どの子もすっごく可愛かった! グッズもいっぱい買えたしさ、大満足だよ! 水渦(みうず)さん、付き合ってくれてありがとね」 本当に本当に楽しかった! グッズは大量、水渦(みうず)さんお勧めの三点セットに缶バッヂやら(全種類購入)ノートにペンにスタンプも、マグカップにトートバッグに ”ネコネコマカロン(20個入り)” も買っちゃった! マカロンは会社のみんなで食べるから、次の出社で持ってくつもりだ。 「いえ、私も楽しかったです。”ネコネコ写真展” は初めてですが、大福以外に猫をあんなにじっくり見る事はありませんからね。思った以上に色んな柄の猫がいると知りました」 「そう、そうなんだよ! 猫ってさどの子もみーんな柄がチガウの。どんな柄でも個性だし可愛いよねぇ。大福みたいな白猫だって、一色だから量産型かと思いきや、肉球を視てみればピンクをベースに黒いブチがあったりしてさ、イチニャンイチニャン違うんだ。ちなみにお姫は後ろ足に小さなブチがあるんだよ。それがとっても可愛いし美味しそうなの♪」 「美味しそう……? 肉球がですか?」 「うん! なんて言うか、苺ムースにチョコチップがトッピングされてる感じで甘そうなんだ」 「苺ムースにチョコチップ、ですか」 「そう! 柔らかくってひんやりしててピンク色のプニプニと1つだけある黒いブチがスーパーキュートでラブリーでファビュラスでマーベラスでエンジェルすぎてたまらないんだ!」
/372ページ

最初のコメントを投稿しよう!

474人が本棚に入れています
本棚に追加