第九章 霊媒師こぼれ話_エイミウの星の砂

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「なるほど」 「それでね! ……って、ごめ、僕ってば猫のコトになるとすぐコレだ。ついつい止まらなくなっちゃうんだよ」 僕の悪いクセだ。 はたと気づいてあやまると、水渦(みうず)さんは小さく笑ってこう言った。 「何を今更。岡村さんの ”猫廃人” は6年前から知っています。これが通常運転ですし、言わなくなったらそちらの方が心配ですよ。……それはそうと、今日は大福がいませんがどこかに外出中ですか?」 「ああ、今日のお姫は黄泉の国に逝ってるの。生前の飼い主さん、優子お姉さまに会いにね。今頃は思いっきり甘えてるんじゃないかなぁ」 そう。 以前、黄泉の国までお姉さまに会いに逝き、それからというもの月に何度か暇を視つけちゃ里帰りをしてるのだ。 いない時はちょっぴり(いや、かなり)淋しく感じるけれど、大福が幸せだったら僕もそれが嬉しいからね。 枕を濡らす夜もあるけど、ココは笑顔で送りだすのが下僕というもの(淋しいけど、ガチ泣きするけど)。 「そうですか、それは残念です。私は特別猫好きではありませんが、大福は好きです。それと、猫又がいればウチの岡村さん(・・・・・・・)が喜びますし」 あ、”ウチの岡村さん(・・・・・・・)” と言えばあの子だ、水渦(みうず)さんの式神である鳥の子ちゃん。 シュッとしてるがお顔がとっても可愛らしいハヤブサで、最初の頃は頑なに鳥の名前を教えてくれなかった。 しつこく聞いて、やっとのコトで教えてくれたのは2年前(付き合ってすぐの頃)。 聞いた時は驚いちゃって、ホンチュンである鳥の子もテレテレしちゃって、みんなして笑ったのを覚えてる。 「そっか、ウチの姫も ”岡村さん” と遊ぶのを楽しみにしてるからなぁ」 なんてコトを話していると、美味しそうな匂いと共に料理が到着。 わぁ! 予想以上にボリューミー! ごちそうを見た途端お腹が鳴って、僕らは揃って両手を合わせて ”いただきます” をしたのだった。
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