第二章 霊媒師こぼれ話_持丸平蔵と清水誠ー1

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いやぁ、なんだか恥ずかしいですねぇ。 1人で熱くなってしまいました。 あの後、1階から3階までぜんぶ回ってみましたが、私の姿が視える人は1人もいませんでした。 姿どころか声さえも聞こえない。 ココも空振りかしら……諦めて次の場所に行った方が良いかもしれません。 とりあえず休憩も兼ねて、駅前の神社に行こうかな。 こうなれば神頼みですよ。 階段で1階(した)まで降りて、そのまま真っすぐ出口に向かって歩いていくと、ガラスの扉の向こう側から若い子がやってきました。 斜め掛けのカバンを背負った、茶色い髪の優しそうな男の子。 心の中で『頑張って!』と応援しながら、男の子とすれ違う時。 ほんの一瞬、目が合った気が……しました………… え……? 今の……気のせいかしら…… 一瞬すぎてはっきりとは分からない……、でも、でもでもでも……気のせいじゃなかったら……? 目が合ったとしたら……? そう考えたら私の胸はドギマギしちゃって、カァッと霊体(からだ)が火照ってきちゃって、足を止めて振り向いて、男の子の後ろ姿をジッと視て、それで、それで、いてもたってもいられなくって、だから……! 『こ、こんにちは!』 後ろから、思い切って声をかけてみたの。 …… ………… ……………… …………………… 数秒が永遠に感じちゃう。 男の子の反応をドギマギしながら待ってると、 彼は止まり、 振り向いて、 私の目をしっかり視た後____ 「こんにちは」 そう言って、 ペコリと小さく頭をさげて、 中に入っていったのです、 ああ……ああ……ああぁぁぁぁん!! とうとう……とうとう……! 『ダイヤの原石、視つけたちゃった……!』 こうしちゃいられません! 急いで後を追わなくちゃ!
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