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いやぁ、なんだか恥ずかしいですねぇ。
1人で熱くなってしまいました。
あの後、1階から3階までぜんぶ回ってみましたが、私の姿が視える人は1人もいませんでした。
姿どころか声さえも聞こえない。
ココも空振りかしら……諦めて次の場所に行った方が良いかもしれません。
とりあえず休憩も兼ねて、駅前の神社に行こうかな。
こうなれば神頼みですよ。
階段で1階まで降りて、そのまま真っすぐ出口に向かって歩いていくと、ガラスの扉の向こう側から若い子がやってきました。
斜め掛けのカバンを背負った、茶色い髪の優しそうな男の子。
心の中で『頑張って!』と応援しながら、男の子とすれ違う時。
ほんの一瞬、目が合った気が……しました…………
え……?
今の……気のせいかしら……
一瞬すぎてはっきりとは分からない……、でも、でもでもでも……気のせいじゃなかったら……?
目が合ったとしたら……?
そう考えたら私の胸はドギマギしちゃって、カァッと霊体が火照ってきちゃって、足を止めて振り向いて、男の子の後ろ姿をジッと視て、それで、それで、いてもたってもいられなくって、だから……!
『こ、こんにちは!』
後ろから、思い切って声をかけてみたの。
……
…………
………………
……………………
数秒が永遠に感じちゃう。
男の子の反応をドギマギしながら待ってると、
彼は止まり、
振り向いて、
私の目をしっかり視た後____
「こんにちは」
そう言って、
ペコリと小さく頭をさげて、
中に入っていったのです、
ああ……ああ……ああぁぁぁぁん!!
とうとう……とうとう……!
『ダイヤの原石、視つけたちゃった……!』
こうしちゃいられません!
急いで後を追わなくちゃ!
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