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「…………これで送信完了、……ああ、失礼しました。あまりに見事なパンケーキだったので、撮った写真をユリさんに送信していました。岡村さん、大丈夫ですよ。最初は少々驚きましたが、このくらいなら2人で食べられます」
「え、本当? だけど僕、けっこうお腹いっぱいだけど」
「問題ありません。こういう時はケーキの分だけカロリーを消費すれば良いんです」
「なにそれ、今からどこか走りに行くとか?」
言ってるコトの意味が分からずマヌケな顔でそう聞くと、水渦さんは辺りをコソッと見た後に、両手両五指曲げて絡めて結び出す。
それって……印? なんで今? こんな所で?
「辺りの人に見つからないよう放電をするんです。霊力を使えばカロリーが消費され、パンケーキの2枚や3枚、問題なくいただけますから」
なるほどっ、そういうコトか!
確かにそうだ、現場で霊力をたくさん使うとお腹がグーグー鳴るもんね!
こんな霊力の使い方があっただなんて!
さすがは僕より歴の長い霊媒師!
水渦先輩、ハイスキル!
「お、おかしな事を言わないでください! それよりもいただきましょう。せっかくのパンケーキですから」
こうして僕らはコソッと放電しまくって、ハチミツたっぷりバベルの塔を食べ始めたの。
それは甘くてフワフワで、ジャスミンティーとも良く合った。
1枚2枚と平らげて、3枚目を切り分けながらもお喋りに花が咲く。
水渦さんは無口に見えてそうでもないから、いつまで経っても話題が尽きない。
そんな中、ふと、思い出したんだ。
前回出社で ”おくりび事務所” に行った時、社長が言ってた事なんだけど……
「ねぇねぇ、そう言えば社長から聞いた? 今度の会社の創立記念日、今の所依頼が1件も入ってないんだって。もしもこのまま0件だったら、その日は業務をお休みするって言ってたの。でね、社員全員休みが揃うの滅多にないから、社長の家に集まってバーベキューでもやらないかって。水渦さん、バーベキューに行った事が無いって言ってたよね? だからさ、本当に会社が休みになったら一緒に行こうよ!」
メンバーはいつものみんなとその家族。
大勢でワイワイガヤガヤ、楽しいに決まっている。
昔のアナタだったなら、絶対参加しないだろう。
でもさ、今ならきっと楽しめると思うんだ。
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