第九章 霊媒師こぼれ話_エイミウの星の砂

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~~~人生初のバーベキュー・水渦(みうず)視点~~~ 11月某日、PM9:24 ____もしもし、水渦(みうず)さん? こんばんは、今お話しても大丈夫ですか? え? もうオウチにいるから問題ない? 良かったぁ! そうそう、先日はパンケーキの写真をありがとうございました。あのケーキすっごい大きいですね! メールのタイトル読んだ時は【バベルの塔】ってなんだろうって思ったけど、写真見たら納得しました♪ あ、それでね本題に入ります。岡村さんから聞いたかもしれないけど……今度、会社の創立記念日があるじゃないですか、……ん? そうそう! それっ! もしも依頼が0件だったら会社自体をお休みにして、ウチでみんなでバーベキューをしようってお話! そこで朗報なんですが、ギリギリまで待ったけど結局依頼は入らなくって、社員全員お休みが決定しました! と言うコトで水渦(みうず)さん、一緒にバーベキューしましょー! 現場も終わった自宅の部屋で、くつろぐ私の電話の相手はユリさんだ。 たまにこうして業務以外の私用の件で、電話やメールを私にくれる。 不思議な感覚だ。 過去の私は友人なんて、ただの1人もいなかったのに。 プライベートのスマートフォンの、電話機能を使った事が1度も無くて、アドレス帳は長い年月真っ白だった。 それが今では、 ____ねぇ、良いでしょう? 私、水渦(みうず)さんと一緒にお肉が食べたいんです! ホタテも食べたいんです! お魚もシイタケも食べたいんです! トウモロコシも食べたいし、デザートのアイスだって食べt……ん? あれ? 私、食べるコトばっかり言ってるよ。チ、チガウの、だってほら、みんなが揃って同じ日に休めるなんて、これを逃したら今度はいつあるか分からなでしょう? せっかくのお休みだもの、友達と思いっきり遊びたいぁって思ったんです。み、水渦(みうず)さんに用事があるなら仕方がないけど、でも、その、出来たら一緒にバーベキュー……(ゴニョゴニョ) ユリさんは私を遊びに誘ってくれて、こんな私を ”友達” だと言ってくれる。 そう言えば……真っ白だったアドレス帳、1番最初に登録したのはユリさんだった。 岡村さんでも先代でもなく(先代はスマートフォンを持っていないが)、清水ユリさん、電話の向こうの心優しき女の子。 私の初めての友達だ。
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