第九章 霊媒師こぼれ話_エイミウの星の砂

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____ねぇねぇ聞いてるー? 水渦(みうず)さんってばー! …………ふ、 この声、この話し方、霊視で覗くまでもない。 きっと今頃ユリさんは、口を尖らせジタバタしている。 私の返事を今か今かと待っているに違いない。 先日に、あの人からバーベキューの話を聞いて、最初は躊躇したものの最終的には参加と決めた。 あの人から熱心に誘われたのと、それから、”今のアナタなら楽しめると思うんだ” そう言われたのがきっかけだ。 確かに、……あの人の言う通りかもしれない。 ユリさんも誘ってくれる、……それがとても嬉しくて、参加前から心がじわりと温まる。 「ユリさん、ちゃんと聞いていますよ。ええ、参加します。こんな機会、滅多にないですから」 そう答えるとユリさんは、弾んだ声でこう言った。 ____本当ですか!? やったぁ! 嬉しいです! 当日はいっぱい食べていっぱいお喋りしましょうね! 社長がね、その日はぜんぶ男性チームがお肉を焼くから女子はなんにもしなくて良いって言うんです、甘えましょう、おまかせしちゃいましょう! それでね、もしダイジョウブなら、その日は少し早めにウチに来てもらえませんか? ん? バーベキューの用意じゃないですよ。あのね、私ね、この前お買い物に行った時にね、水渦(みうず)さんに似合いそうなキレイなピンを見つけたんです。だから早めに来てもらえれば、私が髪を結ってあげます。水渦(みうず)さんをもっともっとキレイにしちゃうの! 私に似合いそうなピンを見つけた……? それで髪を結ってくれると言ったのですか……? そのピンをわざわざ買ったと、当日もわざわざ早起きするのですか? 私の為に……? この時、私の胸が驚く程に大きく鳴った。 こんな事は初めてだ。 嬉しい、……嬉しくて嬉しくてたまらない。
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