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私がモタモタしていると、ガチャ、とドアの開く音が聞こえた……その直後。
黒い布地にラメの入った金色の二本線、相変わらずおかしなジャージの清水誠が現れた。
「ん? んー? なんだよミューズじゃねぇか! ははっ! よく来たな、ココまで遠かっただろ! とりあえず入って来いよ。中でユリが待っている。昨日の夜からミューズが来るのを楽しみにしてたんだ!」
朝っぱらから大きな声だ。
清水はなにやら両手に荷物を抱えている、……これはきっとバーベキューの用意をしてるに違いない。
女子供は何もしなくて良いとは聞いたが、目の前で見てしまってはそういう訳にはいかないだろう。
「おはようございます。本日は私もバーベキューに参加させて頂きますが、なにせ人生初なので、ルールやマナーが分かりません。粗相があればその都度教えていただけると助かります。また、指示があれば私も何か手伝いますので言ってください」
昨夜のうちにインターネットで調べはしたが、基礎知識が何も無いから正しい理解が出来たかどうかは怪しいものだ。
ならば直接経験者に教えを乞うのが確実だろう。
と、思っての発言だったが、此処で再び玄関ドアの開く音がして、そこから顔を出したのは……
「やっぱり水渦さんだー! 来てくださって嬉しい! あがってください、私の部屋に行きましょう♪」
ユリさんだった。
長い髪を青いリボンで一つにまとめ、外まで出てきて私の手を取りニコニコ笑う。
「おはようございます。ですがユリさん、社長は1人でバーベキューの用意をしてるのですよね? まだ時間には余裕があります。私も少し手伝おうと思うのですが、」
と、私が言うと、それを聞いた清水が笑ってこう言った。
「なんだよ、ユリから聞いてねぇのか? 今日はな、女子供はなんにもしねぇと決めている。だからミューズもなんにもするな。なに、用意なんてすぐ終わる。それにこの後ジャッキーも来るからよ。心配なんかいらねぇやな。それとさっき俺に聞いたよな? バーベキューのルールやマナーが分からねぇって。教えてやるよ。ルールはな、とにかく食うんだ。いっぱい食っていっぱい飲んで、お喋り出来りゃあ上等だ。つーコトでユリの部屋で2人で待ってろ。用意が出来たら呼んでやるから。あ、そうそう。おまえらオヤツは程々にしておけよ? そうじゃねぇと肉が食えなくなるからな!」
結局清水に追い立てられて、ユリさんにも手を引かれ……私は甘えて家の中におじゃましのだ。
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