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ああ……夢みたいだ。
この髪型をあの人が見たら何て言うだろう。
似合うと言ってくれるだろうか。
などと、頭の隅にあの人の笑う顔が浮かんだ時だった。
鏡越しで目が合ったユリさんが、
「水渦さん、髪もピンもすごく似合ってます! こんなに綺麗になったんだもの、岡村さんに見せたいですよね。あー、早く来ないかなぁ!」
こんな事を言うものだから、もしや心を読まれたかと額に汗を掻いてしまった。
さらには、
「あー! 水渦さん、ほっぺが赤くなっちゃった! やっぱり早く見せたいんだー! ふふふ、気持ちは分かります。綺麗にしたら好きな人に見てほしいですよね」
こう言って私の顔を覗き込む(今度は直接)。
「わ、私は別に、そんな事は……ゴニョゴニョ」
「えー、そんな事はないんですか? 本当に?(ジーー)なぁんて、ちょっとイジワルでしたね。ゴメンナサイ。でもでも、水渦さんって岡村さんの話になると、いつもこうして照れちゃいますよね」
「そ、そうでしょうか、気のせいでは……」
「ううん、気のせいじゃないですよ。私、最初からずっと見てたもの。覚えてます? 私と水渦さんと岡村さん、3人が初めて会ったのは同じ日なんですよ。あの時の水渦さんは、今よりちょっぴり近寄りがたい感じがしたし、岡村さんとは大喧嘩をしてましたよね。だけどその後、なんだかんだと2人で仲良く私と社長を覗いたりしてたじゃないですか」
「う……! あの時は本当にすみませんでした。人の恋路を覗くなぞ下衆の極み、猛省しております」
「ううん、良いの! 今となってはあれも楽しい思い出です。それよりも私ね、あの時の2人を見て、あれ? って思ったの。その後も、あれ? って思うコトがいっぱいあって、それでね、2人はきっとこの先にもっと仲良くなるんじゃないかと思ったんだぁ。……ん? その ”あれ?” を具体的に? 良いですよ、ぜんぶ教えてあげます!」
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