第九章 霊媒師こぼれ話_エイミウの星の砂

28/102
前へ
/378ページ
次へ
ユリさんの話はこうだった。 …… …………私ね、今だから言えるけど、水渦(みうず)さんと初めて会った前日に社長から言われたんです。 水渦(みうず)さんは大の人嫌いで、言葉がとにかくキツイって。 あ、これは悪口じゃないですよ。 だって社長はこうも言ってたんです。 キツイ所はあるけれど、仕事は出来るし根っからの悪人じゃない。 ただ、慣れ合う事が好きじゃないから、最初はビックリするかもしれないと。 私は少し大げさでは……と思ったけど、初めて会ったあの日、会社に着いて、荒れに荒れた女子ロッカー室で大福ちゃんに取り押さえられた水渦(みうず)さんを見て、社長の話は本当だったんだ……って思ったんです。 それもあって前にも言ったけど、あの日私は水渦(みうず)さんって怖い人だと思ったの。 だけど違った。 あの後、社長と岡村さんと水渦(みうず)さんは事務室で話をしてましたよね。 水渦(みうず)さんは社長と岡村さんにはキツイ事をいっぱい言ったけど、私には一言も言わなかったもの。 その後、私と社長で庭で話をしてた時に、水渦(みうず)さんと岡村さんが私達を覗いてて……その事を知った時、恥ずかしー! とか、ヤメテー! とか思ったけど、それと同時に、水渦(みうず)さんって慣れ合わない人じゃなかったっけ? とも思ったんです。 まして、当時の岡村さんは入ったばかりで霊視は出来ないはずなのに、水渦(みうず)さんが霊力(ちから)をかしたと聞いて……私の頭はハテナだらけでした。 それで、水渦(みうず)さんを見ていたら、なぜだかウチの爺ちゃんの事を思い出したんです。 爺ちゃんは生きてた頃は口は悪いし喧嘩っ早いし、近所の人から ”狂い熊” って呼ばれてました。 早い話が、まわりの人から怖がられちゃうタイプです。 そんな爺ちゃんは、いつでも言葉が乱暴で誤解ばっかりされるんだけど、気に入った人には親切なんですよね。 とは言え言葉はやっぱりキツくて好意がすごく分かりにくいの……って、あ、分かっちゃいました? そうです、水渦(みうず)さんもそのタイプかなって思ったんです! えへへ、爺ちゃんと一緒にしちゃってごめんなさい。 とにかくそれで、きっと、水渦(みうず)さんは岡村さんを気に入ったと言うか……敵ではないと思ったんだろうなって、そう感じました。 岡村さんは岡村さんで、水渦(みうず)さんに何を言われてもちっともへこたれないでしょう。 いつだったか、神奈川のポ現の現場のその後に、ジャッキーさんと水渦(みうず)さんと打ち上げをしたって聞いたし。 それだって、岡村さんが水渦(みうず)さんを誘ったんですよね。 岡村さんにとって、水渦(みうず)さんの言葉が多少キツイくらいはなんともなくて……あ、でも、ただ単に流すとかじゃなく、どうして言葉がキツクなるのか、その理由を考えてくれる人じゃないですか。 そういう人なら、水渦(みうず)さんの優しい所にすぐに気づくんだろうなって思ったんです。 気づいてしまえば、好きになるのは時間の問題です。 や、当てずっぽうじゃあないですよ。 私も同じですから。 本当の水渦(みうず)さんを知った時、大好きになっちゃったもん! ★水渦(みうず)が大福に組み敷かれたシーンがこちらです https://estar.jp/novels/24474083/viewer?page=411&preview=1水渦(みうず)とエイミーがユリと誠を覗いたシーンもついでに https://estar.jp/novels/24474083/viewer?page=424&preview=1 ★神奈川の現場の後にエイミーが水渦(みうず)を打ち上げに誘うシーンも https://estar.jp/novels/24474083/viewer?page=586&preview=1 それぞれ『霊媒師募集』本編に飛びます(*´▽`*)
/378ページ

最初のコメントを投稿しよう!

478人が本棚に入れています
本棚に追加